カネボウ化粧品 SALAは9日、「特定の香りが女性の顔の視覚的印象に影響を与える効果についての共同研究」の結果を発表した。同研究は、奈良教育大学教育学部、同大学院教育学研究科・福井一教授との共同により、香りと視覚の感覚間相互作用の観点から行われたもの。
実験期間は1月~3月末。実施場所は奈良教育大学。被験者は、健康で嗅覚が正常な男性32名(平均年齢22.7歳)。被験者には、香りの種類を伏せて実験を行った。被験者は、あらかじめ香りを漂わせた部屋に入室し、一定時間(1分間)香りを嗅いだ後に、スクリーンに映し出された女性の顔写真を30秒間見て、その写真に対する魅力度を評価した。
女性の顔写真は、日本人女性70名の顔写真をアベレージング(平均化法)により作成した3種類。組み合わせをいろいろ変え、事前に、同実験の被験者とは別の10名(男女各5名)が魅力度を評価。それぞれ「美人顔(バランスの整った顔)」「平均的な顔」「それ以外の顔」とし、実験で使用した。
実験は、6種類の香りと、3種類の顔写真の組み合わせ(18パターン)を、順序をランダマイズして呈示。顔写真に対する「魅力度」は、5段階で評価した。測定した香りの種類は、「シャンプーの香り1」「シャンプーの香り2」「白バラ(ローズ・アルバ)の香り」「ホワイト・ムスクの香り」「タバコの香り」「無臭」の6種類。
「シャンプーの香り」は、1・2ともに、同社が30年余にわたり販売しているロングセラーブランドのシャンプーの香りとした。1と2はともにフローラル系で似た香調だが、1はローズを主とした香り、2はナルシス(水仙)やミューゲ(すずらん)を主とした香りとなっている。
シャンプーの香りで、女性の顔は魅力的に見える
研究の結果、香りの種類により、視覚が影響を受けていることが分かった。平均顔の女性の画像に対し、香りの影響が端的に表れたのは「シャンプーの香り」で、男性被験者がシャンプーの香りを嗅ぎながら女性の顔を見ると、無臭のときよりもその女性の顔が約10%魅力的にうつるという結果となった(無臭時に対して、シャンプーの香り1呈示時で110.4%、シャンプーの香り2呈示時で109.1%の魅力度)。
「残り香」で身体や毛髪を香らせる間接的な芳香は、平安時代から貴族女性の間で用いられてきた手法であり、現代の女性も「残り香」の優れたシャンプーや髪コロン等を効果的に用い、毛髪等の身体に香りのおしゃれを楽しんでいる。このような間接的な芳香は、実際に女性を魅力的に見せる効果があることが示される結果となった。
白バラ、ホワイト・ムスクの香りは、バランスの整った顔の女性をより魅力的に
魅力度が高いバランスの整った顔の女性の画像に対しては、 白バラとホワイト・ムスクの香りにおいて特に魅力度が増加することが分かった。
白バラとホワイト・ムスクは、シャンプーの香りに用いられている素材で、単独でも高い香りの嗜好性を示し、鎮静効果等の生理・心理効果を持ち、個性的で特徴のある印象を被験者に与える香りといえる。バランスの整った顔の画像に対しては個性的な香りでも許容され、女性をより一層魅力的に見せる効果を有していることが考えられるという。
なお、タバコの香りは、女性の魅力を低減させることもわかった。