TISは11月28日、経済産業省が公募した平成25年度「産業技術実用化開発事業費補助金(ソフトウェア制御型クラウドシステム技術開発プロジェクト)」に採択され、「自律型ハイブリッドクラウドプラットフォーム」の技術開発プロジェクトを開始したと発表した。

「自律型ハイブリッドクラウドプラットフォーム」の利用イメージ

本プロジェクトは、近年注目されている「SDN(Software-Defined Networking)」の技術を活用し、パブリッククラウドやプライベートクラウドを跨いだシステムを構築する際に発生する、システム基盤方式設計や、ディザスタリカバリ(DR)を考慮したシステム運用設計などの作業を、テンプレート化することで再利用を可能とする技術の開発を行うもの。

プロジェクトでは、多種多様なシステム稼働環境を統合的に管理するソフトウェアを開発し、エンタープライズシステムから稼働環境に依存する仕様を切り離すことで、「個別のクラウド」を超えたシステム方式設計における自由度と再利用性を高めることを目的とし、コンピューティングリソースおよびネットワークの仮想化技術、クラウド統合化技術、クラウド設定自動化技術、ハイブリッドクラウド統合監視技術などを用いて、プライベートクラウドとパブリッククラウドを含む多種多様なシステム稼働環境を統合的に管理するソフトウェアの開発を目指す。

ソフトウェアを開発するための技術には、OpenStack、OpenFlow、Chef、Zabbix、RubyなどのOSS技術を積極的に活用し、開発した技術もオープン仕様およびOSSとして広く公開。これまでエンタープライズシステムにおいて暗黙知として蓄えられてきた方式設計に関するノウハウを形式知として共有するエコシステムのしくみも提供。本プロジェクトの成果の一部を2014年3月までに、オープンソース・ソフトウェア(OSS)として広く公開予定としている。

将来的には、「ハイブリッドクラウド」環境の統合的な運用を実現する開発技術を活用することで、システム開発者は、システムの設計、構築、運用の各段階で、プライベートクラウドやパブリッククラウドといった稼働環境に依存しないシステム開発を可能とする。

さらに、ソフトウェア制御の技術を活用すれば、エンタープライズシステムに自律的な自己修復と拡張の機能を提供することも可能になり、システムインテグレータおよびエンタープライズシステムのユーザは、開発するシステムが実現する価値そのものにより注力できるとTISでは考えている。