タカラバイオは10月2日、ヒトのiPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞から、肝臓細胞への分化状態を評価を目的としたさまざまな研究試薬を10月8日より発売すると発表した。
創薬研究においては、医薬品候補物質のヒト肝臓細胞などを用いた毒性評価が必要とされており、現在は主に初代培養肝細胞が用いられている。ただ、この細胞は安定した供給が難しいという側面があり、多能性幹細胞から均一で高機能の肝臓細胞を効率的に製造する方法の開発に注目が集まっており、iPS細胞が肝臓細胞に分化していることを正確に評価する技術が非常に重要となっているという。
今回発売する予定の「Human Alpha Fetoprotein EIA Kit」は、肝臓細胞分化の初期段階の指標として注目されているα-フェトプロテイン(AFP)を抗原抗体反応で検出する試薬。細胞培養液の上澄みを用いて評価するため、貴重な培養細胞を破壊することなく、1時間ほどの短時間で、幹細胞から肝臓細胞への分化状態を簡便に評価できるという。
また、肝臓細胞への分化状態を評価する異なる指標として、肝臓細胞に多く含まれているミトコンドリアのDNAをリアルタイムPCRにて定量する試薬「Human Mitochondrial DNA (mtDNA) Monitoring Primer Set」も発売する。
そのほか同社では、関連抗体などの新製品も同時に発売する予定としており、今後、研究目的に応じて肝臓細胞への分化状態を評価できる製品群の拡充を図っていくとしている。