米連邦捜査局(FBI)が10月1日、違法ドラッグ取引の温床とされているオンラインのブラックマーケット「Silk Road」の運営人とされている人物、Ross William Ulbricht(29歳)を違法薬物取引やマネー・ローンダリングなどの容疑で逮捕した。New York Timesなど米主要メディアが報じている。これを受けて、Silk Roadは閉鎖され、Silk Roadで利用されている仮想通貨「Bitcoin」の価値は一時2割程度下がった。

Silk Roadは2011年に開設されたブラックマーケット。LSDなど違法薬物が中心だが、偽造パスポートやクレジットカード情報なども取引されていたという。通常のWeb検索ではひっかからない"ダークネット(Darknet)"上に存在し、匿名化技術Torを利用してアクセスできる。登録ユーザーは96万人近くに達していたと報告している。FBIでは「今日、インターネット上に存在する市場としては、最も洗練され、かつ完璧な犯罪マーケットプレイス」と述べている。

Silk Roadを開設し、運営してきたといわれるUlbricht容疑者はSilk Road上では"Dread Pirate Roberts(「The Princess Bride(邦題 : プリンセス・ブライド)」の海賊ロバーツ)"を名乗っていた。報道によると、Ulbricht氏はサンフランシスコの図書館で逮捕されたという。

Silk Roadの取引高はこの2年半で9500万ビットコイン(約12億ドル)に達しており、サイト運営側は手数料として8000万ドルの利益を挙げていたという。Ulbricht容疑者逮捕に伴い、FBIはSilk Roadを閉鎖し、360万ドルに相当する2万6000ビットコインを押収した。違法薬物取引、マネー・ローンダリング、殺人教唆などの容疑がかけられている。

これにより、一時期145ドルで取引されていたビットコインの価値は118ドル程度に下がった。現在、125ドル付近で取引されている。

Clark MoodyのMt.Gox(BitCoin取引所)のチャート。逮捕の報道を受けて10月3日に大きく下がっている

セキュリティ研究者のBrian Krebs氏が公開した起訴状によると、Ulbricht容疑者はテキサス大学卒、大学では物理学専攻だったという。その後ペンシルバニア大学理工学部の大学院に在籍したことがあるようだ。