パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は9月30日、HEV、EV、ガソリン車などのECU(電子制御ユニット)の電源回路向けに、低直流抵抗で小型、大電流を実現した車載パワーチョークコイル「PCC-M0530M/M0540M」シリーズを発表した。

近年、車載の低燃費化が進み、車載用ECUでは高速で精密な制御、および制御数の増加が進んでいる。さらに、ECUの小型、統合、軽量化への要求も高まっている。また、ECUのCPU駆動電源のノイズ除去用フィルタやDC/DCコンバータ部に搭載されるパワーチョークコイルには、小型で数Aクラスの大電流にも対応できることが要求されている。

同製品では、高いインダクタンス値の達成を可能にする、独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料と細い銅線を用いた巻線コイルを採用。さらに、同金属磁性材料と巻線コイルを隙間なく一体成形したギャップレス一体構造を開発した。これにより、36mΩの低直流抵抗を実現。5mm角と小型ながら、発熱や損失が低く、大電流にも対応しており、ECUの電源回路の省スペース化やECUの精密な制御に寄与する。

また、バッテリの限られた電力量の中で、制御数増加や複数のECUに対応するため、車載パワーチョークコイルには低損失が求められている。同製品は、低直流抵抗で抵抗が低いため、回路上で必要な電流、電力を下げることができ、消費電力の低減が図れる。これにより、ECUの制御数の増加や、ECU自体の増加にも対応した。また、発熱が低く温度上昇を抑えることができるため、ECU側で必要な放熱回路の設計が容易になる。

この他、ギャップレス一体構造の実現により、クラックなどの欠陥が発生せず、また磁性材料の組成を工夫することで150℃/2000hの高耐熱を達成している。加えて、コア内部から銅線を引き出した独自の端子構造を採用することで、基板への実装信頼性が高く、5Hz~2kHz/15Gの優れた耐振動性を達成している。これらにより、エンジン周りなど厳しい環境下での搭載にも対応している。

なお、サンプル価格は500円。10月より月産700万個体制で量産を開始する。

パナソニックの車載パワーチョークコイル「PCC-M0530M/M0540M」シリーズ