ヤフーは9月17日、"次世代インターネットサービス"と題して、新しい検索コンセプトモデル「さわれる検索」を発表した。あわせて、同コンセプトを3Dプリンタを使って具現化した「さわれる検索」マシンも公開した。

インターネットで多く行わる「検索」は、主に文字検索によって得られたテキストデータや音声・動画データを、読んだり視聴したりするのが一般的となっている。今回、同社が発表したコンセプトモデルは、3Dモデリングデータベースと3Dプリンタを利用し、検索して得られた対象物をその場で3Dプリンタで出力して"さわれる"ようにしたもの。

試作機の開始ボタンを押して検索したい単語を話すと、音声認識によって検索結果が表示され、3Dモデリングデータがある場合にはそのまま3D出力が行えるようになっている。出力にかかる時間は、ものによって異なるが、手のひらに乗るサイズのきりんで約15分程度だという。

現在、クラウド(雲)をイメージしたこの試作機では、きりんやうさぎといった動物など約100種類が出力可能。これらのモデリングデータは、日産自動車、東武タワースカイツリー、アマナイメージズといった"3Dデータ協賛企業"から提供されており、同プロジェクトでは、さらに個人や企業からデータを募集している。

同社ではプロジェクトの一環として、この試作機を筑波大学附属視覚特別支援学校に試験的に導入して特別授業を実施。今後は、本格導入を約1カ月の期間をかけて行う予定としている。

同校 副校長の星祐子氏は特別授業の様子を「言葉だけを知っていても、危険でさわることができないものや、さわるには大きすぎるものに、さわれることは、盲学校の教育に大きな意義を持っている。自分の発した言葉からものが生まれてくるという行為は、子供たちの探究心を養うことにも役立っている」とコメントする。

記者発表会で登壇したヤフー 代表取締役社長の宮坂学氏は、「検索結果にさわれたら、おもしろいだろうということからスタートした。今すぐなにかを始めるといったものではないが、こんな未来が来るといいといった思いから生まれたもので、ヤフーが考えるちょっと先の未来のコンセプトモデル」と語る。

同プロジェクトは「事業化の予定はない」としているが、新しい広告クリエイティブとして、「映画告知のPRに主人公のフィギュアを配布」「新車の3Dデータを公開し360度から見てもらう」「スマートフォンの新機種発売にあわせ端末カバーの3Dデータサンプリングを行う」などといった展開案が紹介された。

同社の広告商品は、バナー広告やテキスト広告が主力となっているが、このようなプロジェクトから新たな広告表現が生まれる可能性もあるだろう。なお、今回の試作機は9月18日~19日に東京で開催されるデジタルマーケティングカンファレンス「アドテック東京」で公開される予定。