NECは9月10日、ヒューマンエラーを起こしにくいユーザインタフェースの設計に有効な配色評価方式を開発したと発表した。
同方式は、画面の配色が利用者にどれだけ負荷を与えているかを初めて数値化したものであり、算出した数値を基に画面を最適化することで、ヒューマンエラーの要因となる負荷を抑制することを実証したという。
システムを操作する際に見落としや見間違いといったヒューマンエラーが発生する主な要因として、システム画面の複雑さ、配色の不調和による情報の探しにくさ、長時間のシステム利用に伴う疲労の蓄積が挙げられる。重要な情報が探しにくい場合、利用者は状況把握(画面のどこを見て、何を行えばよいか判断すること)が困難になりミスを起こしやすくなることが、これまでの研究で科学的に解明されている。ヒューマンエラーを低減するには、システム画面上の重要な情報を認識しやすくすることと、長時間の作業環境においても疲れにくい画面構成にすることが重要になる。
そこで、重要な情報が認識しやすく、目が疲れにくいユーザインタフェースを実現するために、画面設計における重要な要素である配色に着目した。今回開発した配色評価方式は、システム画面の配色の調和の度合、重要な情報の目立ちやすさ、目の疲れにくさを独自の手法で数値化し、画面の配色が利用者に与える負荷を定量的に示した上で、算出した数値を基に、画面の配色を最適化する。最適化を行う際、画面全体の配色の調和を取った上で、重要な情報の目立ちやすさを高めることによって、重要な情報をより素早く確実に把握可能にする。さらに、隣接する配色の組み合わせを、視覚に刺激の少ない目に優しいものとすることで、疲労への影響を最小限に抑制する。
今後、配色評価方式をわずかな操作ミスも許されない医療システムや航空管制システムなどに適用し、ヒューマンエラーを起こしにくいシステム開発に役立てていく。また、同方式のさらなる精度向上を進め、幅広い分野において有効性を検証し、より安心・安全なシステム開発を行っていくとコメントしている。