日本民藝館は、柳宗理が長年にわたって蒐集・愛蔵してきた品々を展観する「特別展 柳宗理の見てきたもの」を開催している。開催期間は11月21日まで(月曜は休館)、開場時間は10:00~17:00。会場は目黒区駒場の日本民藝館 本館大展示室、玄関ほか。入場料は大人1,000円、高大生500円、小中生200円。

「特別展 柳宗理の見てきたもの」のポスター

同展では、世界的な工業デザイナーであり、約30年間(1977~2006年)にわたって日本民藝館の三代目館長を務めた柳宗理が、館長時代に蒐集した同館のコレクションをはじめ、柳家から遺贈された陶磁器や染織品、仮面などを展示。また、父・宗悦から受け継いだ食器類も併せて展示し、柳宗理がどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介している。

なかでも、特に宗理の眼を惹きつけたのは、現代社会の中で今なお手仕事が純粋な形で残っている、アジアやアフリカなど諸地域で生まれた生活の造形であり、日本の伝統美を表す「陶磁器」や「花紋折り」、沖縄古来の風土と信仰から生まれた「シーサー(屋根獅子)」、朝鮮民族の生み出した「民画」や「木工品」、始原的な美しさを持つアフリカの「土器」や「金属器」、豊かな色彩と文様のインド、ブータン、チベット、アフガニスタンの「染織品」など。展覧会や雑誌『民藝』の特集などでも積極的に取り上げてきた。

毛織絞衣裳 チベット 19-20世紀

サイチョウ(カラオ) セヌフォ族 コートジボワール(アフリカ) 20世紀

インド・ラダックでの柳宗理 1983年

屋根獅子(シーサー) 沖縄県(日本) 20世紀

緑釉手付肉汁受皿 フランス 18世紀

同館の創立者である父の宗悦が「民藝美」という新たな価値を生み出し、宗理もまた「日本民藝館は純粋な美の存在をより輝かす場所である」という信念を胸に、自らの眼と足で国内はもとより世界各地への旅の中で様々な品物を見つけ出していったが、それらには「無心の美」への関心とともに、宗理ならではの美意識や造形的感覚が表れている。