島津製作所は8月20日、血管撮影システム「Trinias」シリーズの新製品として、8型角サイズのフラットパネルディテクタ(FPD)を搭載した天井走行式の「C8 package」、床置式の「F8 package」、バイプレーンタイプの「B8 package」の3機種を発表した。

患者のQOL(Quality Of Life)に対する意識の高まりなどを背景に、体にメスを入れる外科治療に比べて侵襲性が低く優しい治療法として、X線透視撮影を行いながら、太ももの付け根や手首の皮膚に開けた穴からカテーテル(医療用細管)を血管に挿入して行う血管内治療(インターベンション)の件数が、年々増加している。

こうした中、同社は独自の画像処理技術により、高度なインターベンションを支援するシステムとして、2012年10月に「Trinias C12 package(天井走行式)、F12 package(床置式)」、また2013年5月に「B12 package(バイプレーンタイプ)」を発表している。同製品群は12型角FPDを搭載しており、1台で頭部、心臓、腹部、四肢までの全身をカバーでき、利用効率が高い装置として、医療現場における幅広いニーズに対応している。一方で、血管撮影装置の使用用途の約50%は心血管治療、検査であることから、心血管センターや循環器センターなどに代表される心血管疾患を専門に先進治療を行う現場からは、取り回しが容易で、より心臓部に密着させることができる小型のFPDを搭載した装置が望まれていた。

そこで今回、「Trinias」シリーズの特徴をそのままに、心血管の撮影に適した8型角FPD搭載製品をラインアップとして追加したという。X線撮影では、撮影部位と検出器までの距離が短くなるほど、より鮮明な画像を取得することができる。今回の製品は、FPDをより心臓部に密着させることができるので、より鮮明な画像の撮影が可能となるとともに、患者の被ばくを低減することが可能。インターベンション技術の高度化が進む中、鮮明な画像により心血管の治療時間を短縮し、術者の手技をサポートする。

また、「Trinias」シリーズは、新たに開発した画像処理エンジン「SCORE PRO」、独自の動きに強い血管強調処理技術「SCORE RSM」、心臓の拍動で常に動いているステントを固定表示し、さらに見やすく強調表示する最先端のステント留置術支援ソフトウェア「SCORE StentView」などを採用することにより、最高クラスの画質を実現したとする。

さらに、ワンアクション操作設計および高速操作応答レスポンスによる優れた操作性を確保。検査時間の短縮による患者負担の軽減が可能なほか、7つの被ばく低減機能により、従来に比べて最大40%以上の低線量化を実現している。加えて、画像バックアップ機能やリモートメンテナンス機能なども備えているという。

なお、価格は「C8/F8 package」が3億円(税別)から。「B8 package」が4億5000万円(税別)からとなっている。

バイプレーンタイプの「B8 package」