アイ・ティ・アールは2013年8月14日、コンテンツ管理/オンラインストレージに関する調査結果の一部を発表した。調査は、国内企業に勤務する情報系システム担当者を対象に実施され、業務にオンラインストレージを利用しているユーザーは4割を超えた。

回答者のうち、個人向けのストレージサービスを「日常的に利用している」とした人の割合は64.4%を占め、さらにそうした個人向けサービスを「仕事でも利用している」とした人が43.5%に上った。自社のコンテンツ管理について責任のある立場にいるスタッフでさえ、多くが個人向けサービスを仕事目的に常用しているという実態が明らかとなった。これは「シャドウIT(企業側で管理できないIT利用)」が蔓延していることの表れと言える。

個人向けストレージサービスの利用状況(全体)

個人向けストレージサービス別の利用状況について、最も利用率が高かったのは「Google Drive」で27.1%、続いて「Evernote」(26.4%)、「SkyDrive」(23.3%)、「Dropbox」(22.3%)の順となった。日常的に利用される割合が高いサービスほど、仕事目的で利用される割合も高い傾向が示れた。

利用率で上位を占めたサービスは、いずれもPCだけでなくスマートデバイス環境での使い勝手の良さが高く評価されているという点で共通しており、Google、Microsoft、AppleといったスマートデバイスOS/機器ベンダーのサービスも上位に位置している。

個人向けストレージ・サービスの利用状況(サービス別、複数回答)

ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は、「2013年7月に、複数の中央省庁でGoogleグループの利用に伴う情報漏洩が問題となったが、無償または安価に個人アカウントで利用できるオンラインストレージサービスの業務利用は常態化しており、民間企業も決して他人事とは言えない。こうしたサービスを利用する背景には、企業・団体をまたいだ情報共有ニーズの高まりと、スマートデバイス活用の進展があると考えられる。企業のIT責任者は、こうした個人向けサービスの利用を単純に禁止するだけでなく、企業アカウントの取得や社内構築による情報共有基盤の整備など、現実的かつ安全な代替案を提示する必要がある」と述べている。