森永乳業は8月12日、光老化モデルマウスおよび乾燥肌女性を対象とした試験において、アロエベラゲル(アロエベラ食用として認められている葉肉部分)から、抗肥満効果および抗糖尿病効果を示す有効成分である植物ステロール(細胞膜構成成分)「アロエステロール」を含有するAVGP(アロエベラゲルパウダー)の摂取に、皮膚水分量の保持および抗シワ効果があることを確認したと発表した。

同成果の詳細は、「第31回日本美容皮膚科学会」にて発表された。

アロエは古くから、塗布による創傷治癒など、肌に対する効果が知られているが、経口摂取による効果については十分な検討が行われていなかった。そこで研究グループは今回、経口摂取による効果を調べるために、モデルマウスおよびヒトにアロエステロール含有AVGPの摂取試験を行った。

1つ目の研究では、へアレスマウスに継続的に紫外線(UVB)を照射した光老化モデルマウスに同AVGP混餌を投与し、皮膚水分量およびシワ形成に対する作用の検討が行われた。

調査の結果、紫外線を照射することで、皮膚水分量の低下が見られたが、AVGP摂取群は、非摂取群(対照群)に比べ、皮膚水分量が有意に高いことが確認されたという。

皮膚水分量の変化

また、紫外線照射開始8週後の背部皮膚レプリカ解析の結果、総シワ平均深度は、AVGP摂取群で有意に低い値が示され、アロエステロール含有AVGP摂取による肌の老化予防効果も確認されたという。

総シワ平均深度

同社では今回、アロエステロール含有AVGPで試験を行ったが、アロエステロール濃縮成分を用いた試験でも同様の作用を確認したとしている。

2つ目の研究は、乾燥肌の女性56名に、アロエステロール含有AVGP(500mg/日)を含む食品(AVGP摂取群)、またはプラセボ食品(対照群)を8週間摂取させ臨床検査および肌指標項目の測定をダブルブラインド試験にて実施するというもの。

結果、腕の皮膚水分変化量はAVGP摂取群で増加する傾向が見られたほか、シワ平均深度変化量はAVGP摂取群で有意な低下が確認されたという。

左が皮膚水分量の変化、右がシワ平均深度の変化

なお、今回の試験においてAVGP摂取による副作用発生はなく、臨床検査値の解析においても安全性に問題ないことが確認されているという。

なお、同社では、今回の研究までに、アロエステロール濃縮成分が、繊維芽細胞のコラーゲンやヒアルロン酸産生能を高めることも確認しており、アロエステロールの作用が、今回の動物試験およびヒト試験で確認された、皮膚水分保持およびシワに対する効果のメカニズムの1つであると推察されるとしており、アロエステロール含有AVGPが、肌機能の維持に寄与する素材であることが期待されることから、今後も研究を行っていく予定としている。