セルシスは、マンガ・イラスト作成ソフト「CLIP STUDIO PAINT」に、マンガ的なパースを簡単に表現できる「マンガパース」機能を搭載した。

3Dキャラクターモデルへのマンガパース機能の適用例

「マンガパース」機能は、複数のカメラパラメータを1枚の絵に合成する方法によって、3Dモデル側の変形を一切伴わず、マンガ的なパースが適用された3D空間の表示を実現するもの。目前に迫るパンチの拳だけが極端に大きく描写されるなどの"マンガ的なパース表現"は、マンガやイラストで迫力や臨場感を表すためによく用いられる表現技法のひとつで、そういった技法を用いた作画を支援するために開発された機能となっている。

また、これまでにも同様の表示結果をもたらす技術はあったが、それらは固定のポーズやアングルにおいて、3Dモデル側を変形させることでマンガ的なパースを実現していた。そのため、少しカメラを動かしたり、モデルを移動・回転させると、見た目の大きさや形状のバランスが崩れてしまい、3Dモデル側をその都度変形させる必要があったという。この問題は、同機能を使うことで解決され、ポーズやアングルが変更されても、リアルタイムにマンガ的なパースが表示される。

マンガパース機能を適用した3Dアニメーション

加えて、「マンガパース」機能は、3Dアニメーション制作ソフトウェア「CLIP STUDIO ACTION」にも搭載され、8月下旬にアップデータを公開予定となっている。これにより、3Dアニメーションの分野でも、マンガ的なパースを簡単に活用できるようになる。

なお、同機能は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究「革新的な三次元映像技術による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」において、東京大学苗村研究室と日立製作所が提案した技術に基づき、日立製作所の協力のもと開発したものだという。