小松市の「ハニベ岩窟院」いきなり遭遇するのがこの巨大大仏アタマ!

日本各地には、淡路島にある「秘宝館」を始めとした不思議スポットが存在する。石川県小松市にある「ハニベ巌窟院」も、ちょっと怖気づいてしまう不思議な世界が広がっているという。そう、外観からしてアナザーワールドなのだ。

高さ15mの大仏の頭がお出迎え

このハニベ巌窟院は昭和26年(1951)に作られた洞窟寺院で、名称にあるハニベは埴輪(はにわ)を作る人の「土部師(はにべし)」に由来するという。彫塑家であった初代院主の都賀田勇馬氏によって、多様な仏の世界や地獄が洞窟内に再現されているらしい。期待に胸を膨らませながら、現地へと向かった。

引きのショットを一枚。出だしからただならぬオーラを感じる

駐車場から見えるのは、巨大な大仏の頭。この大仏は「ハニベ大仏」と命名されており、高さは15mもあるという。さすが、公式サイトのキャッチフレーズが「鬼も遊ぶ、仏陀の里。」というだけある。のっけからこのインパクトとは恐れ入る。

拝観料800円を支払い、洞窟内部を探検していく。あくまでも寺院なのだが……

拝観料800円を支払い上り坂を登ると、いよいよ出現するのが洞窟だ。ちなみにこの洞窟は天然の洞窟ではなく、昔の石切り場だったという。長さ150mほどある薄暗い洞窟内に入ると、最初は大黒様やらお釈迦様の姿が。しかし、足を進めると何やら空気がおどろおどろしくなってくる……。

これが寺院!? 鬼やエンマ様などが続々と登場

これは鬼? エンマ様? 像はクルマにひかれたり生首だったり血まみれだったりと、寺院のイメージからは想像でしがたい雰囲気が漂っている。まさに「地獄絵図」そのもの。鬼が人間の目玉の串や人肉をサカナに、「人血酒」で酒盛りしていたりもする。微妙にエログロな像も多く、例えば「乱用の罪」。男性のイチモツが超巨大化しており、「一物重く足腰立たず」と紹介されているのだ。

皿の中身をよくよく見ると、人間の耳、舌、目玉がゴロゴロ……

「一物重く足腰立たず」の像……子供には控えたいかも

目に見えない世界を形にした場所?

代表の都賀田明美さんによると、「ここは目に見えない世界を彫刻で表現しています。それを目にすることで何かを心に感じていただければ」とのこと。強烈な像たちの目の前で、何とも穏やかに話す都賀田さん。こんな世界を毎日毎日見ていると、悟りを得たように心静かになるのだろうか。

「例えば『食べ物を粗末にする罪』という地獄があります。この地獄では、鬼が人のおなかを杵(きね)でついています。子供にこれを見せて食べ物を粗末にしないこと、好き嫌いをしないこと、と教えてあげてくださいね」と、都賀田さん。

都賀田さんによると、敷地内には大小様々な100体ほどの像があるという。よく見ると神様も仏様も鬼もみんなユニークな表情をしていて、制作者の思いやこだわりが随所に散りばめられている。例えば、不動明王や阿弥陀如来も、よく知られたそれとはどこか違う、人間らしい表情を湛(たた)えているように見えるのだ。

ちなみに、いまは頭部だけの大仏様も「いつか全身像を完成させたいと思っております。何年かかるか分かりませんが」と都賀田さんは言う。

また、お土産にはハニベ大仏がプリントされたTシャツ(1,800円)や手ぬぐい(500円)が人気だとか。実際に行ってみると相当にディープな「ハニベ岩窟院」、是非現地を訪れてみていただきたい。ここで悟りの世界に到達できるかは、あなた次第だ。

●information
ハニベ巌窟院
石川県小松市立明寺町イ1番