ボランティア・分散コンピューティングを行っているBOINCプロジェクトは7月22日、IBMやGoogleの支援を受け、Android端末でBOINCプロジェクトに参加できるようになったと発表した。
BOINCは、Berkeley Open Infrastructure for Network Computingの略称で、カリフォルニア大学バークレー校が開発したボランティア・コンピューティング用ソフトウェア。世界中に存在するPCの余った処理能力を活用して、シミュレーションやデータ解析に役立てる分散コンピューティングを行っている。
今回BOINCは、これまでのデスクトップ/ノートPCだけではなく、プロジェクトの対象をAndroid端末にまで拡大。現在出荷されている9億台のAndroid端末がBOINCプロジェクトに参加すると、その処理能力は従来型の大規模スーパーコンピュータが持っていた性能を上回るものになるという。
既にBOINCアプリはGoogle Playで配信されており動作環境は、Androidバージョンは2.3.3以上が必要。バッテリー消費の抑制や3G/4G通信を抑制するために、バッテリー残量90%以上か充電中にWi-Fi接続を行っている場合のみ、BOINCアプリが実行されるよう設定されている。設定は変更することも可能。
AndroidベースのBOINCプロジェクトは当初、「Einstein@Home」と「FightAIDS@Home」の2つが提供される。
「Einstein@Home」は、電波パルサー探索プロジェクトで、プエルトリコのアレシボ天文台にある世界最大の電波望遠鏡から送られてくるデータを解析するために処理能力を提供する。
一方、「FightAIDS@Home」は、IBMが運営・管理を行っているワールド・コミュニティ・グリッドで展開されているプロジェクト。こちらは、効果的なエイズ治療薬の研究を目的に、アメリカのスクリプス研究所にあるオルソン教授の研究室によって進められているものとなる。
IBM ワールド・コミュニティ・グリッドでは今後、Android対応プロジェクトを増やしていくとしている。