IDC Japanは、国内クライアント仮想化市場の動向について、4月に実施したユーザー調査を分析しその結果を発表した。

それによると、2013年クライアント仮想化導入率は、全社導入が4.4%、部分導入が12.2%、試験導入が4.6%、導入予定が3.9%、導入検討中が10.0%だったという。これを2012年と比較すると本格導入と試験導入を合算した導入率は2.9ポイント高まっているが、関心なしとするユーザー企業は約4割で、2012年とほぼ同じだったという。

2012年の調査結果と比べると、2013年の産業分野別では、「金融」「流通/小売/卸売」を除くすべての分野で全社導入と部分導入を併せた「本格導入」の割合が増加。また「本格導入」の割合が高い産業分野は2012年、2013年共に「金融」「情報サービス」「製造」となっており、この傾向は2011年から大きく変わっていない。

クライアント仮想化製品の導入状況、2012年/2013年(出典:IDC Japan)

特に「金融」は「全社導入」が8.7%、導入済み/導入予定/検討中まで合算すると6割で、最も全社導入および検討の進んでいる分野で、従業員規模別では、従業員規模が大きくなるほど、導入率も上昇しているという。

2013年のモバイル仮想化導入状況は「全社導入」が3.9%、「部分導入」が9.1%、「試験導入」が7.1%、「導入予定」が5.7%、「導入検討中」が15.0%だった。

モバイル仮想化導入率は20.1%、モバイル仮想化製品を導入済み/導入予定/検討中であるユーザーは40.7%で、「検討なし」「関心なし」とする企業は約5割となっている。

クライアント仮想化製品導入の流れでモバイル仮想化製品を導入するユーザー企業と、モバイルデバイスの業務活用あるいはBYOD利用で検討する企業と、二極化してモバイル仮想化製品市場は拡大している。

IDC Japan PC 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「キャズム越えを果たしたクライアント仮想化の導入は着実に進展している。スマートデバイスを活用したモバイル仮想化、仮想デスクトップサービスといった潮流もクライアント仮想化市場の底上げに寄与する」と述べている。