豪Atlassianは6月20日、同社の日本法人「アトラシアン株式会社」を6月13日に設立したことを発表した。代表取締役社長には、Orcad、マグマ・デザイン・オートメーションなどの日本法人代表を歴任し、慶應義塾大学の客員研究員なども務めるスチュアート・ハリントン氏が就任している。

アトラシアン 代表取締役社長のスチュアート・ハリントン氏

アトラシアンは、プロジェクト管理ツール「JIRA」、コラボレーションツール「Confluence」、分散バージョン管理システム「Stash」など、主にソフトウェア開発者を対象としたツール群を提供する企業。2002年にシドニーにて設立され、サンフランシスコ、アムステルダム、東京に拠点を構える。

各製品とも機能が豊富で、簡単に使えるうえ、安価に始められるライセンス体系になっているといった特徴がある。例えば、主力製品のJIRAの場合、10ユーザーでまとめて月額10米ドル。一般的なプロジェクト管理ソフトウェアにも備わる課題管理、バグ管理、タスク管理などに加えて、ワークフロー管理機能やレポート機能、さらにはモバイル対応UIなども備えている。また、1000以上のアドオンが提供されており、そのなかにはSCRUMやKanbanなどのアジャイルプロセスに則した開発を進めやすくなるものなども用意されている。

アトラシアンの製品の特徴。安価で簡単に使い始められるため、会社の標準ツールとして経営陣が押し付けてくる「トップダウン型」ではなく、現場が個別に導入しそれが広まっていく「ボトムアップ型」で導入が進むケースが多いという。

Atlassian PresidentのJay Simons氏

導入企業はワールドワイドで25000社以上。フォーチュン100のうち85社で導入実績があり、国内でもトヨタ自動車、キヤノン、ソニー、楽天、ヤフー、デンソーなど、217の企業で利用されている。ワールドワイドの業績は、毎年40%以上の成長率で急伸中。「導入社数も四半期あたり1500社以上のペースで伸ばしてている」(Atlassian PresidentのJay Simons氏)と言い、昨年度の売上は1.1億米ドルを超えている。

日本法人の目標についてハリントン氏は、「具体的な数値は明かせない」としながらも、「個人的な想いとしては、エキスパートチーム(パートナー)のスキルレベルをさらに向上させ、トラブルや問い合わせに対しても一切本社に頼らなくてもよい環境を作りたい」と説明した。

また拡販経路については、「営業社員を抱えていないため基本的に口コミ。既存のユーザーが勉強会や転職の際に周囲の開発者に勧めてくれたり、社内で導入済みの部署から評判を聞いて横展開したりといったケースが多い」(スチュアート氏)という。さらに「Forbesによると、過去に営業をしなくても売れた製品というは3つだけ。そのうち2つはApple製品で、残る1つがうちの製品」といったエピソードも紹介し、開発者から強力に支持されていることを強調した。

また、同社は併せて、同社製品群のSaaS版「アトラシアン オンデマンド」の日本語版をリリースしたことも発表。オンプレミス版しか提供されていなかったJIRA、Confluence、Stashなどの日本語版がSaaSとして利用できるようになっている。

アトラシアン オンデマンドの設定画面