機楽は6月18日、3Dプリントサービスのジェイ・エム・シー、金型製作のミヨシ、電子部品のスイッチサイエンスの協力を得て、低価格ホビーロボット組み立てキット「RAPIRO(ラピロ)」(画像1)を開発したことを発表した。

画像1。RAPIROの外観。全高約25cm、重量1kg弱。両手に乗る感じ

RAPIROはRAspberry PI RObotを意味し、Linuxが動作する名刺サイズのカードPC「Raspberry Pi」を頭部に組み込めるようにデザインされている(画像2)。Raspberry PIを搭載すれば、カメラやスピーカ、ディスプレイ、そのほかUSBデバイス、LANケーブルなどと接続可能というわけだ(画像3)。また、Raspberry Piカメラモジュールにも対応した設計だ。

画像2。Raspberry Piを頭部に組み込むことが可能

画像3。USBポートは2つ、LANケーブルも差し込める

全身12個のサーボモータを使用しており、サーボは首、腰、両足の6個が2.5kgf-cm、両腕の6つが1.5kgf-cmとなっており、どちらも0.12sec/60°、稼働角度は180°というRAPIRO用の特別仕様となっている(画像4・5)。また、制御基板はArduino互換だ(ATmega328P(16MHz)(画像6)。また、両目はRGB値で制御できるフルカラーLEDとなっている(画像7)。身長は約25cm、重量は1kg弱だ。

画像4。RAPIRO専用サーボモータ。2種類用意されている

画像5。組み立ての様子

画像6。Arduino互換ボードを採用

画像7。目や額のランプはRGB値で制御できるフルカラーLED

機楽の代表でRAPIROのデザインや企画を担当した石渡昌太氏(画像8)によれば、あまり力があるわけではないが、U1K(アンダー1kg以下級)のようなロボットバトルの出場も無理ではないという。重心は低いので、倒れにくいのはバトルで有利だろう。ちなみにバトルを想定して開発されたわけではなく、どちらかというとプラットフォーム的な色合いが強い。よって、使い方はユーザーの工夫次第といった具合だ(画像9)。

画像8。RAPIROのデザインや企画を担当した機楽 代表取締役の石渡氏

画像9。RAPIROの使い方いろいろ

例としては、スピーカをつけてインターネットに接続できるようにすればTwitterやFacebookのメッセージを知らせてくれたり、Googleカレンダーで今日のスケジュールを管理してくれたり、今日の天気や占いを教えてくれる秘書ロボット的な使い方や、Raspberry piカメラモジュールをつけて留守中のあなたの家を守るホームセキュリティロボット的な使い方など、個人で利用する場合もあれば、もちろん教育機関でのロボットの学習用教材といった使い方もある。

そのほか、拡張性が高いことから(画像10)、USBにWi-fiやBluetoothを挿入してスマホやゲームコントローラで操作できるようにしたり、マイクをつけてさらにユーザーの音声認識機能プログラムを搭載し、さらに赤外線LEDを搭載すればテレビやエアコン、照明などの音声制御用の端末として使えたりすることも考えられるという。

画像10。RAPIROは拡張性が高く、工夫次第でさまざまな機器を取り付けて機能を強化できる

販売と価格に関しては、新製品の製造資金など、インターネットを通じて必要な資金をファンや購入希望者から募ることができる英国の「Kickstarter」というクラウドファンディングサービスで2013年6月20日より先行予約受け付けを開始していた。先行予約特価として50個限定の199ポンド(約2万9800円)のプランが設定されている(画像11)。通常価格は270ポンド(約3万9800円)だ。

画像11。KickstarterのRAPIROのページ

なお、クラウドファンディングサービスとは購買者が先行投資、つまり開発者・販売者らを支援して上げる仕組みで、人気があれば量産化されるという仕組みだ。ちなみに、現時点での、組み立て型ホビーロボットのU1Kクラス市場においては、3万円を切る値段というのは、ほぼ最安値となっている。先行予約は始まっており、約60日にわたって購入者を募り、2万ポンドを超えれば量産を始められるというわけだ(クレジットカードで申し込み可能)。

さらに、ホビーロボットの初心者向けとして、サンプルプログラム(スケッチ)が書き込み済みなので、Webチュートリアルを見ながら組み立てれば、プログラムがわからなくてもRAPIROを動かすことができるようになる。サンプルプログラムはサイト上で公開される上に、ネット上で容易に入手できるArduinoのサンプルプログラムも参考にすることも可能だ。そのほか、Raspberry Piカメラモジュールなどを利用しての画像認識やマイクを利用しての音声認識、FacebookやTwitterとの接続のためのサンプルプログラムなども今後公開していく予定としている。

そのほか、外層は3Dプリンタで作られているが(画像12・13)、オプションパーツや補修部品を3Dプリンタで購入者が自作できるよう、3Dデータファイル(STLファイル)の公開も予定。ソフトウェア的な拡張だけでなく、ハードウェア的にも拡張できるオープンなプラットフォームにしていくとしている。

外層パーツは3Dプリンタで出力されたもの。3Dプリンタというと、まだ作りがラフなイメージが強い気がするが、かなりしっかりとしている

ちなみにRAPIROのその動作の様子は下の動画で見られる。そのかわいさを堪能しよう。