イーソルは6月20日、T-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eT-Kernel Platform」が、ルネサスエレクトロニクスのARM Cortex-A9コア搭載のHMI向けMPU「RZ/A」シリーズに対応したと発表した。

ARMプロセッサにルネサスの独自技術を取り入れ高性能と低消費電力を実現した「RZ/A」シリーズと、車載機器、FA・産業機器、民生機器など幅広い分野で採用されている「eT-Kernel」プラットフォームを組み合わせて利用することで、高いリアルタイム性と信頼性を確保しつつ、μITRONのソフトウェア資産を活用した、短期間、低コストでのソフトウェア開発を可能にする。

RZ/Aシリーズは、高解像度(WXGA)のサポートやOpenVG1.1に対応した2Dグラフィックアクセラレータの搭載など充実したグラフィックス機能を備え、リッチなヒューマンマシンインタフェース(HMI)を手軽に実現できるマイコンで、ルネサスではカーナビやデジタルダッシュボードなどの車載情報機器や、FA・産業機器向けディスプレイパネル、監視カメラ、ディスプレイオーディオなどのグラフィック表示機器に最適だとしているほか、大容量RAMの内蔵化により、メモリアクセスの高速化に加えて、システムコストの低減が可能。さらに、ARM Cortex-A9コアが有する高性能と低消費電力というメリットが提供されると説明している。

eT-Kernelプラットフォームは、リアルタイムOS「eT-Kernel」をコアに、開発ツール「eBinder」、グラフィックス、ファイルシステム、ネットワーク、USBを含む各種ミドルウェア、プロフェッショナルサービスが統合されたソフトウェアプラットフォーム。eT-Kernelは、μITRONに似た構成を持つコンパクトでリアルタイム性の高いリアルタイムOS、Linuxとの高い互換性を持つPOSIX仕様準拠リアルタイムOSを含む、3つのスケーラブルなプロファイルで構成されており、ローエンドからハイエンドまで、アプリケーションの規模と機能に合せた最適なものを選択できる。μITRON、T-Kernel、Linuxの各ソフトウェア資産を容易に再利用できるため、効率的な開発が可能。アプリケーション開発には、「eT-Kernel」と密に統合された開発ツール「eBinder」を利用できるほか、リアルタイムOSを使ったソフトウェア開発に特化した「eBinder」を利用することで、高品質なアプリケーションを効率的に開発できる。また、eBinderには、ARM純正コンパイラが付属する。

なお、eT-Kernelプラットフォームは、ルネサスの各種CPUをすでにサポートしており、今後もRZ/Aシリーズを利用するグラフィックスソフトウェア開発者に対して包括的な支援を行っていくとしている。