富士通は、静岡県の広域救急医療体制構築委員会と共同で、救急隊と医療機関が傷病者情報と医療機関の受け入れ可能状況をリアルタイムで共有する「静岡県駿東地区広域救急医療情報共有システム(ESMAT)」を構築し、6月1日に運用を開始する。

静岡県駿東地区では、入院治療を必要とする患者を受け入れる二次救急医療機関が減少しており、救急医療体制の維持が課題となっていた。そこで、沼津、御殿場市と三島市の3医師会が中心となり、4市3町の行政、消防本部および医療機関で構成する「広域救急医療体制構築委員会」を設置し、情報技術を活用した情報共有の仕組みづくりに取りかかった。

ESMATでは、タブレット機器をメインのユーザー端末とし、救急隊が入力する傷病者情報と医療機関が入力する救急受け入れ可能状況をリアルタイムでマッチング、救急隊の端末に受け入れ可能な医療機関のリストを表示する。静岡県駿東地区4市3町の全救急車29台と医療機関18か所にタブレット端末を配備し、広域での情報共有と医療連携を可能にする。システムは富士通のデータセンター内に設置され、安全かつ快適に利用できるようにするという。

ESMATの利用イメージ

出動情報を入力する救急隊員

救急隊は、出動指示を受けると、救急車に配備されているタブレット端末に、出動情報(発生場所や事前管制・特定行為の指示の有無など)、患者属性情報(性別・年齢など)、生理学的評価(呼吸・脈拍など)、状況・症状、診療科、画像などの傷病者情報を入力し、クラウド上の本システムに送信。情報は、クラウド上の本システムに保存され、医療機関が入力する受け入れ可能状況とマッチングされる。

そして、救急隊のタブレット端末に、傷病者を受け入れ可能な医療機関のリストが表示される。救急隊は、このリストから搬送先医療機関を選定し、医療機関に電話で受け入れを要請した後に、患者を搬送する。