メッシュ接続対応コグニティブ無線ルータ

情報通信研究機構(NICT)は5月28日、コグニティブ無線技術と無線メッシュネットワーク技術を用いて、新たに 「メッシュ接続対応 コグニティブ無線ルータ」を開発したことを発表した。

ルータは、商用の無線インターネット接続が困難な場合に、ルータ同士が自動的に相互接続して通信経路を設定して通信エリアを拡張。全体として広域な無線LANのインフラを構築し、メッシュネットワークを介してIP通信を中継できるようになっている。

無線メッシュネットワークの構築により、音声通話及び安否確認・被災状況等の情報検索・発信機能が確保できるため、災害が起こった際の初動段階や復旧段階での支援活動での利用が期待できる。

また、電源スイッチを入れるだけですべてが自動的に接続されるため、技術者が現場で直接設定や調整を行う必要がなく、迅速かつ容易に通信インフラを構築できるとのこと。

コグニティブ無線ルータの3つの接続機能(発表資料より)

コグニティブ無線ルータによる広域な無線LAN接続インフラの提供(発表資料より)

このほか、通信インフラにIP-PBX(一般加入者電話との音声通話を中継する交換器)を接続させると、コグニティブ無線ルータに接続した無線LAN端末と、固定電話や携帯電話との通話が可能になる。同ネットワークは統制プラットフォームと呼ばれるクラウドで管理され、無線通信システムの表示・管理機能のほか、無線ルータの位置やメッシュ接続の構成情報を収集して電波伝搬シミュレーションを行い、新たにコグニティブ無線ルータを相互干渉なく配備できる位置を決定する機能なども備えている。

NICTは今後、通常時にも非常時にも利用可能な無線通信ネットワークの研究開発および国際標準化活動を推進していくとともに、機器の小型化や省電力化にも取り組み、商用化に向けた技術開発と民間企業への技術移転を積極的に進めていくとしている。

また、東日本大震災の被災地である東北地方において、同システムを使い、災害に強い情報通信ネットワークの構築を目指した実証実験を行う予定もあるという。