野生植物や作物の花粉の運び屋(ポリネーター)として役立っているミツバチ科の仲間「マルハナバチ」が、人間の土地利用や農薬、ウイルス感染などの影響で、世界的に激減しているという。そこで、まずは「日本国内での現状を把握しよう」と、東北大学大学院生命科学研究科の河田雅圭(まさかど)教授や山形大学理学部の横山潤教授らのグループが「花まるマルハナバチ国勢調査」を始めた。全国の市民たちに、携帯電話やデジタルカメラで撮影した画像の送付協力を呼び掛けている。

マルハナバチは体長2-3センチメートルの丸くて、毛のフサフサしたハチで、さまざまな毛色のパターンがあり、全体的には黒色や黄色、オレンジ色などに見える。公園や家の庭などで普通に見つけられる。“ブーン”という羽音がするが、実はおとなしいハチで、近づいても安全で、手で握ったりしなければ刺したりしないという。

日本にはエゾトラ・マルハナバチやトラ・マルハナバチ、ミヤマ・マルハナバチ、オオ・マルハナバチなど14種類の在来マルハナバチがいるが、温室トマトの受粉のために1992年ごろから輸入されたヨーロッパ原産のセイヨウ・オオマルハナバチが野外で定着し、在来種に影響が生じているとの報告もある。

「花まるマルハナバチ国勢調査」は、各種マルハナバチの全国分布を調べて生息の範囲や気候変動による多様性の変化などを予測し、結果をマルハナバチの保全に生かすことを目的としている。また、今回の調査によって、新たな「市民参加型の生物多様性データ収集法」を確立することも狙いだ。

調査への参加の仕組みは、位置情報を記録するGPS機能が付いた携帯電話カメラやデジカメでマルハナバチを撮影し、画像をメールでアドレスbumble@bio.ikimonosirabe.infoに送る。 GPS機能がない場合は、メール本文に撮影した場所の住所をできるだけ詳しく書き、アドレスhanamaru.maruhana.870@gmail.comに送る。

送られた画像を基に、東北大学・山形大学の研究者がマルハナバチの種を同定し、GPS情報から撮影場所を推定する。推定された画像はGoogle mapに表示し、web上の「生物情報収集システム」で公開される。

【マルハナバチの撮影ポイント】

マルハナバチの種を同定するには、胸とおしりの毛の色が重要になり、背面からの写真は、もっとも種の同定がしやすく重要だという。このため背面の写真だけでも十分だが、余裕があれば、背面→側面→正面の優先順で撮影し、送ってほしいとのこと。

(1)背面撮影

(2)側面撮影

(3)正面撮影