休日ともなるとスゴイ賑わいの「おかげ横丁」とはどんな場所なのか?

2013年秋の式年遷宮を前に、いまや旅行ガイドは伊勢特集で目白押し。この伊勢神宮の鳥居前町として、江戸から明治の建築物で再現された魅力あふれるスポットがある。その名も「おはらい町」。この「おはらい町」の中心に位置しているのが、今回紹介する「伊勢内宮前 おかげ横丁」である。

この「おはらい町」と中心ゾーン「おかげ横丁」には、テーマパーク並みの施設がそろっているが、入場料は無料。往時の伊勢の町並みや参宮の様子をジオラマや映像で再現した「おかげ座」のみ、入場料は300円(子供=100円)だという。終日かけても見尽くせない楽しい施設が集結している中で、今回は数百円以内で楽しめるグルメや文化スポットを紹介したい。

「おかげ座」は入場料300円。伊勢の町並みやライフスタイルが再現されている

伊勢の伝統で遊ぶ・食す

まず「孫の屋三太」。こちらはおもちゃ屋さんだ。伊勢路の伝統工芸品「伊勢玩具」を始め、昔懐かしい竹とんぼ、けん玉、コマなどのおもちゃが集められ、さながら日本の伝統おもちゃ博物館といった雰囲気だ。

伊勢玩具のヨーヨー(420円)などはフォルム、デザインの美しいこと。材料は、神宮林などに自生しているサルスベリの木。芯は竹を割り削って利用しているという。

「孫の屋三太」の伊勢玩具ヨーヨー420円は、通販でも購入できる

次に紹介したいのは、極太麺とたまり醤油の濃厚なタレで知られる伊勢うどんの名店「ふくすけ」だ。軒先に縁台をずらりと並べ、道中茶屋を彷彿(ほうふつ)させる店構えがいい。

スタンダードな「伊勢うどん」は450円。たまり醤油独特のコクと利尻昆布にかつお節、しいたけといった天然のお出汁が染み込んだタレ。見た目は少し辛そう。でも、口に入れると意外とあっさりした風味に驚く。

旅行雑誌で目にしない日はないほど有名な「ふくすけ」の「伊勢うどん」(450円)

原点回帰の音頭をとった赤福

「おはらい町」と「おかげ横丁」この個性的な名をもつエリアの歴史をひも解いていくと、そこには地元の企業家たちの懸命な町おこしヒストリーが見え隠れしてくる。

長い歴史を持ち、伊勢神宮の鳥居前町として栄えた「おはらい町」。江戸時代には300万人以上の参宮客が訪れていたというが、1970年代にその数は20万人にまで減少したという。その理由は単純だ。伊勢参拝を済ませた参宮客が「おはらい町」を素通りして、さっさと次なる観光名所へ移動してしまったからだ。

そこを憂慮し立ち上がったのが、かの老舗和菓子の「赤福」だった。「洋風化したものが氾濫する今だからこそ、日本的な心の故郷が求められている」。そう思い、原点回帰をコンセプトに、伊勢の懐かしい町並みを再現する取り組みを始めたのだ。

リーダーたちの取り組みは次第に全国区の評価を得るようになり、今やこのエリアを目的に訪れる観光客が絶えないほどの人気スポットになった。「おはらい町」成功の影に老舗菓子店「赤福」あり。どうりで「おかげ横丁」の中心に、威風堂々たる「赤福本店」が建っているはずだ。

伊勢を語る上で外せないのものは、やはり「赤福本店」だ。この本店で体験したいこと、それは、銘菓、赤福を「お箸で食べること」である。それは昔、お餅が食事であった時代の名残なのだという。今や各地のギフトショップや通販で、簡単に入手できる「赤福」だが、一度くらいは本店で、丁寧にお箸で頂きたい。一皿3つで280円なり。

「赤福本店」の堂々たる店構え。お箸で頂く「赤福」は280円なり

ざっと駆け足で紹介した「おはらい町」「おかげ横丁」だが、この場所にはまだ他にもギャラリーあり、紙芝居の上演あり、ハイカラな洋食屋ありと、すばらしい店舗が集結している。伊勢エリアを旅した時は、逃さずに是非、訪れてみてほしい。

注)価格やメニュー名は2013年4月取材時点の情報です。商品価格などは時期によって変動する可能性があります