みずほ総合研究所は14日、2012年度の「アジアビジネスに関するアンケート調査」の結果を発表した。同調査は、2013年2月に同社会員企業のうち、資本金1,000万円以上の製造業4,699社を対象に行われ、1,303社から有効回答を得た。

まず、現在、日本とアジア各国・地域との間でどの様なビジネスを行っているか尋ねたところ、69.9%が「何らかのアジアビジネスを行っている」と回答。内訳は、「輸出」が44.2%、「輸入」が42.2%、「現地にビジネス拠点を設けている」が30.8%、「技術取引」が6.9%だった。

アジアにおける自社製品の売上見通しを調べると、2012年度と2013年度の売上DI(「売上増」から「売上減」を差し引いて算出)は、全ての国・地域でプラス。また、2013年度の売上DIは、2012年度の売上DIを全て国・地域で上回った。

前回調査における「2012年度の売上見通し」(1年後の見通し)と今回の「2012年度の売上見通し」(現在の見通し)の結果を比べたところ、「10%以上の売上増」と答えた割合は、中国では5.3ポイント減ったほか、NIESでも軒並み減少(韓国7.3ポイント減、シンガポール2.5ポイント減、香港1.4ポイント減)。このうち、中国については尖閣問題などが影響したと同社は分析している。

アジアにビジネス拠点を設けている企業にその場所を聞くと、最多は「中国拠点」で70.9%となったものの、割合は前回の76.4%から5.5ポイント低下。以下、「ASEAN拠点」が57.4%(前回56.1%)、「NIES拠点」が27.8%(同22.8%)、「インド拠点」が10.5%(同11.4%)と続いた。

アジア拠点における現在の収益DI(「満足」「やや満足」の計から「不満」「やや不満」の計を差し引いて算出)を見ると、ASEANはプラス3.9となった一方、中国はマイナス27.2、インドはマイナス19.5、NIESはマイナス10.6との結果に。特に中国は前回から18.1ポイント減と大幅に低下した。

全企業を対象に、今後、最も力を入れていく予定の地域を質問したところ、最も多かったのは44.7%のASEANで初の首位を獲得。次いで、中国が36.7%、NIESが21.5%、米国が10.6%、インドが8.1%、欧州が7.9%、中南米が3.7%となった。前回調査と比べて、中国が10.8ポイント減少したのに対し、ASEANが7.5ポイント増加。また、NIESは4.4ポイント上昇したものの、インドは3.6ポイント低下した。

今後最も力を入れていく予定の国・地域(複数回答)(出典:みずほ総合研究所Webサイト)

各国・地域の注力理由を尋ねると、中国、ASEAN、NIES、インドのいずれにおいても「現地市場の拡大傾向」が1位にランクイン。このうち、ASEANでは「進出先を分散し、特定地域への集中リスクを回避」など、中国では「部品や原材料の調達の容易さ」「日本や第三国への輸出拠点の確保」などが前回より増えていた。