地球の極地方から波長がキロメートル級の電波が連続して宇宙空間に放射されていることを、東北大学大学院「惑星プラズマ・大気研究センター」の森岡昭名誉教授らと名古屋大学、京都大学、カリフォルニア大学の研究者らが発見した。日本の磁気圏尾部観測衛星「ジオテイル」(Geotail、1992年打ち上げ)の長期観測データを解析したもので、放射する電波の周波数が地球の自転とともに変化(変調)するなど、惑星である地球が「変光電波星」の性質をもつことが分かったという。

発見した電波は、波長がキロメータ級であることから「連続性地球キロメータ電波」と名付けた。電波は強度が弱いながらも連続して放射され、地球の1日の自転に同期して周波数が200 キロヘルツから600キロヘルツまで規則的に変化する特徴がある。さらに、この周波数の規則変化が春分と秋分を挟んで全く反転するという不思議な現象も明らかになった。

研究チームは「地球が回転することで、何が電波の周波数を変化させるのか」と、この奇妙な電波発生とその周波数変化の原因を探る研究を続けている。現段階では「自転に伴って歳差運動をする地球の磁場と太陽から吹いてくる風(太陽風)との相互作用の関与が示唆される」という。

研究論文“Universal time control of AKR: Earth is a spin-modulated variable radio source.(オーロラキロメータ電波の世界時コントロール:地球は自転周期で変調する変光電波星)”は「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ(Journal of Geophysical Research)」(オンライン版)に掲載された。

「ジオテイル衛星」で観測された「連続性地球キロメータ電波」の1日の変化
(提供:東北大学大学院「惑星プラズマ・大気研究センター」)

24時間(地球の1自転)のうちに周波数が約200キロヘルツと600キロヘルツの間を規則的に波打って(正弦波状に)変化している。また、冬(上図)と夏(下図)で、周波数変化の様子が反転している。