University of California, Santa Barbara |
蛍光灯や白熱電球よりも消費電力が低く、省エネに効果があるとして注目されているLED照明だが、いくつか解決しなければならない科学的および技術的な課題がある。そのひとつに「ドループ現象」がある。LEDチップは電流量が増えると、徐々に発光効率が落ちることが知られている。この現象がドループと言われており、この原理を解明し、なるべく発光効率が落ちない製品を開発することがひとつの課題になっている。
単一LEDチップの最大発光量を増やすことができれば、LED照明に必要となるLEDチップ数を減らすことができる。これは特に大光量が必要とされる製品で問題になりやすい。現在の実装では必要になる光量を得るために複数のLEDチップを使わなければならず、その分が製品の価格へ転化されている。使用するLEDチップの数を減らすことができれば、それだけ製品の価格を下げることができ、製品の競争力を引き上げることができる。
こうした問題の解決につながる発表が、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者らから発表された。「Cause of LED Efficiency Droop Finally Revealed」の発表によれば、カリフォルニア大学サンタバーバラ校およびエコール・ポリテクニークの研究者らが、「オージェ再結合」と呼ばれる現象がLEDのドループ現象を引き起こす原因になっていることを突き止めたという。
LED照明を開発している各社は、それぞれが構造を工夫することでドループの発生を抑える取り組みをしてきたが、根本的なメカニズムが明らかになっていなかったため対応にも限界があった。今回、ドループ現象の発生メカニズムが明らかになったことで、この問題が大きく解決する可能性がでてきた。動作原理が明らかになったことで、各社はより効率よくドループ対策を取り込んだLED照明の設計および開発を実施しやすくなるものとみられる。