映画『君と歩く世界』のジャパンプレミアが26日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、来日した仏女優のマリオン・コティヤールとジャック・オディアール監督、特別ゲストの中谷美紀が出席した。
同作は、クレイグ・デイヴィッドソンの同名短編集(集英社文庫刊)を、『預言者』のジャック・オディアール監督が映画化した1人の女性の再生と希望を描く作品。南仏アンティーブの観光名所マリンランドでシャチの調教師をしていたステファニー(マリオン・コティヤール)は、ショーの最中に起きた事故で両足を失ってしまう。絶望の生活を送るステファニーだったが、5歳の息子を持つシングルファーザーで無骨なアリ(マティアス・スーナーツ)との出会いをきっかけに、生きる喜びを取り戻していく――というストーリーで、映画は4月6日から全国公開予定。
ドレス姿で登場した主演のマリオン・コティヤールは、「こんにちは~」と日本語であいさつし、映画『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』以来、6年ぶりの来日に「桜を見ることが出来たので、この季節に来れてうれしい」とにっこり。両足を失うという難役を演じ、「苦労は特に無かったけど、1つだけ難しかったのは、病院で自分の足が無いことに気付くシーン。彼女の性格を探求したので、本当らしさを出せたかなと思う」と撮影を振り返り、「とても強い存在感のある女性で、この役を演じることが出来たのは素晴らしいこと。私は世界で1番幸せな女優だと思います」と満面の笑み。ジャック・オディアール監督は、難役を演じきったマリオン・コティヤールを「いつか一緒にやると思ってた。他の女優じゃ考えられない役だった」と絶賛した。
また、花束を持って駆け付けた中谷は、「足だけじゃなく多くのものを失ってしまって、観ていて辛かった。でも、普通だと愛せないような粗野で自分勝手な男性と出会い再生していく姿に感動しました。震災で失意にある人も、ステファニーのように悲しみを手放してくれたらと思う」と感想を語り、マリオン・コティヤールを「作品の中で彼女が笑うと私も笑い、泣く度に私も泣きます。地球の裏側にいる素晴らしい女優さんで、心からの敬意を覚えます」と称賛。同い年の日本女優の言葉に、マリオン・コティヤールは「同じ女優さんから感動したと言ってもらえてうれしい」と感激して中谷と熱い抱擁を交わし、日仏女優の交流に感涙していたジャック・オディアール監督は「日本映画は昔も今も観ていて影響を受けます。これからも、素晴らしい日本映画を作り続けてください」とエールを送った。