米航空宇宙局(NASA)は、数十億年前の太古の火星に、微生物の生命活動に適する環境があったと発表した。無人探査機「キュリオシティ」が採取した岩石を分析し、生命維持に必要な硫黄、窒素、水素、酸素、リン、炭素の6元素などを検出した。地球以外の天体で生命存在の可能性を示す証拠が見つかったのは初めてという。
キュリオシティは昨年8月、火星の赤道付近のゲイルクレーター内に着陸した。今年2月、かつての川の下流とみられる場所にある堆積(たいせき)岩をドリルで粉砕し、採取した粉末状のサンプルを機体内の装置で分析した。
その結果、サンプルからは6元素のほかに、粘土鉱物や硫酸塩鉱物も見つかった。特に粘土鉱物はサンプルの20%ほどを占め、かんらん石などの火成岩鉱物と比較的新鮮な水との反応でできたものとみられる。粘土鉱物とともに存在する硫酸カルシウムは、その土壌が中性か弱アルカリ性だったことを示している。さらに、酸化程度が異なる化学物質が混在して見つかったことも、当時の火星にいたさまざまな微生物によるエネルギー消費の違いによるものと考えられる。
NASAの研究者は「得られたサンプルの化学組成は印象的なものだ」と話し、硫酸塩と硫化物がともに発見されたことも「硫酸塩をエネルギー源とする微生物が、かつては存在していた可能性を示すものだ」という。
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