経済産業省(経産省)資源エネルギー庁は3月12日、渥美半島から志摩半島の沖合(第二渥美海丘)において、メタンハイドレートを分解し天然ガスを取り出す海洋産出試験を開始し、実際に船上にてガスの生産を確認したと発表した。

メタンハイドレートは、メタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質で、日本の周辺海域において相当量が存在するものとみられており、将来の天然ガス資源として期待されている。

今回の産出試験(第1回海洋産出試験)は、メタンハイドレートの商業化に必要な技術整備の一環として、2013年1月下旬より進められてきたもので、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を事業主体に、石油資源開発をオペレータとして実施されている(使用船舶は地球深部探査船「ちきゅう」)。

採掘現場は、北緯33度56分・東経137度19分の愛知県の渥美半島沖。海底面は水深約1000mで、メタンハイドレート層はさらに深い水深約1270m~約1330m部分。同層にてメタンハイドレートをガスと水に分解を行い、船上でガスを回収する形で試験は行われている。

なお、第1回海洋産出試験は、商業生産ではなく、調査段階の実験作業ながら、成功すれば減圧法による海底面下のメタンハイドレートの生産状況や周辺環境への影響の把握など、将来のメタンハイドレートの実用化に向けた貴重なデータが得られることから、メタンハイドレートの資源開発研究にとって大きな前進となることが期待されるという。

そのため今後は、ガスの生産実験を約2週間実施し、生産実験を終了した後、今回の実験で生産されたガス量の集計や実験結果の解析作業などを進め、その成果を受けて、予定されている第2回海洋産出試験の計画や、将来の商業生産に向けた技術基盤の整備(フェーズ3:2016~2018年度予定)を進めていく予定だという。

第1回メタンハイドレート海洋産出試験の概念図と実施地点 (c)経済産業省

メタンハイドレート海洋産出試験によるフレア(燃焼)の様子 (c)JOGMEC

動画
メタンハイドレート海洋産出試験によるフレア(燃焼)の動画 (c)JOGMEC(wmv形式 47.0MB 1分10秒)