目の色を変えたり瞳を大きく見せたりできるカラーコンタクトレンズ(以下カラーCL)は、若年層を中心にファッション感覚で親しまれている。その一方でカラーCLの使用により、目に障害が起きたという事例が増えている。日本コンタクトレンズ学会は3月7日、カラーCLの諸問題に関するレクチャーを実施した。
カラーCLによる眼障害事例の97.7%は女性
同学会が全国の眼科医に行った調査によると、カラーCLに起因する眼障害の事例が、2012年7~9月で少なくとも395あったという。その97.7%は女性が占めており、全体の86.5%が15歳から29歳であった。症状は角膜や結膜の炎症が主で、日本眼科医会によるCL障害の調査結果を比べると、CLによる眼障害では重篤と考えられる角膜潰瘍(角膜が濁る、薄くなるなどの症状)や角膜浸潤(角膜が炎症を起こし、白く濁るなどの症状)の割合が、カラーCLでは高くなっていた。
眼障害を起こしたカラーCLをみると、約90%が酸素透過性が低く非イオン性の素材で作られていたという。このタイプは韓国や台湾で製造されるほとんどのカラーCLが当てはまり、現在のクリアなCLではほぼ使用されていない。
カラーCLの着色は、レンズの内面又は外面に着色剤を印刷する、着色剤を素材の間に挟んでサンドイッチ構造にして包み込むという3つの方法がある。内面にした場合は角膜障害を、外面の場合は結膜障害を生じやすく、包み込んだものは比較的安全であるが、一般には製法の内容は公表されていない。
眼障害事例の80.3%は医師の処方なし
カラーCLは度数ありのものも、医師の処方なしで雑貨店やインターネットを通じて購入することができる。眼障害を起こした395人に調査したところ、購入時に眼科を受診しなかった人は80.3%もおり、ほとんどの障害例は眼科医の処方なしにカラーCLを使用していたことが分かった。加えて、人と共有使用する人も少なくなく、ファッションとしてカラーCLを使用する意識にも問題があるようだ。
また、現在展開されているカラーCLは、毎日使い捨てと2週間・1カ月交換だけだが、雑貨店などで販売されているものの中には、6カ月から1年使用できると表示しているものもある。こうした規格外の商品もあることを認識しておく必要がある。
医師が処方したレンズを選ぶことが大切
カラーCLの普及に伴う眼障害の深刻化が指摘されているが、正しい知識をもって使用すれば、眼障害を防ぐことができる。同学会の植田喜一常任理事は、まず眼科を受診し、処方されたカラーCLを選ぶことが大事だという。
その上で、通常のCLと同様、カラーCLの説明書に書かれたケア(洗浄・殺菌)や装着方法を守り、定期検診を受ける。使用に関しても、できるだけクリアなCLと併用し、おしゃれをしたい時だけにする。この場合は、毎日使い捨てタイプがベストだという。レンズは、着色面積が広く目(虹彩)の色を変えるようなタイプではなく、着色面積の少ないリングタイプ(サークルレンズ、輪部強調タイプレンズ)を選ぶなど、視機能への影響が少ないものを選ぶことも大切だ。