日立製作所(以下、日立)は2月20日、複数のデータセンターを広域ネットワークで結んで運用する大規模なクラウドシステムを対象として、深夜や早朝などサービスの利用が減少する時間帯に、サービスの質を落とすことなく不必要なサーバを決定する技術を開発したと発表した。
この技術は、必要なサーバのみに負荷を集約(片寄せ)して省電力化を実現するために、複数のデータセンターに配置されている膨大な台数のサーバの中から、サービス品質を維持するために必要なサーバを、ネットワークの通信容量も考慮した上で短時間に決定する技術。これにより、通信容量を考慮し、必要なサーバを決定した後で、通信容量が足りなくなることによるサービス品質の劣化を防ぐことができる。
サーバ負荷の片寄せの手順は、まず、各データセンターの管理サーバで稼動中のサービスについて、過去の稼動状況から数時間後に必要となるサーバの負荷量と、これに伴うデータ伝送量を予測。各データセンターの管理サーバは、予測を基に、数時間後に発生する負荷を割り当てることができるサーバの有無を相互に確認。このとき、現在利用しているサーバの電力効率(性能あたりの消費電力)を同時に伝えることで、相手方の管理サーバはこの性能を上回るサーバに絞り込んで候補をリストアップする。
そして、各データセンターの管理サーバは、データセンター同士をつなぐネットワークの通信管理サーバと交信し、リストアップされた候補サーバについて、負荷の片寄せを行った場合に通信容量が超過しないかを確認し、問題のない候補サーバの中から電力効率が最もよいサーバを片寄せ先として選定する。
今回、4地域に分散するデータセンターを模擬した大規模クラウドシステムを試作し、各データセンターに模擬的に配置された合計1,000台の仮想的なサーバを対象とした検証を行った結果、所要時間6分で、20~30%の省電力化を実現するサーバ負荷の片寄せパターンを決定できることを実証した。
本技術は、省電力化だけでなく、災害発生時にITリソースを有効活用して、重要なサービスを優先的に提供するシステムの構築にも活用が可能で、日立は、今後、さらなる大規模クラウドシステムに対して、サービス品質を維持した省電力化技術の実用化をめざし、技術開発および評価を進めていくという。