宇宙空間を光速に近いスピードで飛び回っている高エネルギーの放射線「宇宙線」は、太陽よりも重い星が生涯を終えて大爆発を起こした残骸(超新星残骸)で生成されていることが分かった。京都大学の田中孝明助教や広島大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国 SLAC国立加速器研究所などの国際研究チームが「決定的な証拠を見つけた」と発表した。発見から100年、ついに宇宙線の源が特定された。

宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線(一次宇宙線)の大部分(90%)は陽子で、9%がヘリウムなどの原子核、1%が電子だという。最近の観測によって、宇宙線の電子成分は超新星残骸が起源であることが分かってきたが、陽子や原子核については観測的な裏付けはなかった。

研究チームは、ふたご座の方向にある「IC 443」とわし座方向にある「W44」という2つの超新星残骸について、日欧米が打ち上げた「フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡」の2008年から12年までの観測データを解析した。その結果、いずれの超新星残骸からも、陽子や原子核が周囲のガスと衝突することで発生したガンマ線に特有なエネルギー分布が得られたという。

宇宙線は1912年に、ヴィクター・フランシス・ヘス(1883-1964年)の気球観測によって発見された。ヘスはこの功績で1936年にノーベル物理学賞を受賞した。

関連記事

ニュース【西暦775年に宇宙環境の大変動が起きていた】