文化庁は、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する実証実験」の一環として、電子書籍の配信実験「文化庁 eBooks プロジェクト」を実施する。実施期間は2月1日~3月3日。

文化庁eBooksプロジェクトの概要

同プロジェクトでは、国立国会図書館が保有するデジタル・アーカイブ(デジタル化資料)の中から選定した資料について、電子書籍の制作から配信までを行う。実験に使う資料は著作権処理などの手続きを経たもので、配信は紀伊國屋書店の協力のもとで行われる。電子書籍の制作・配信における課題や有効策を明らかにすることを目的としており、将来的に民間事業者・公的機関などが既存のデジタル化資料を電子書籍化して配信する場合の参考となるように取りまとめるとのこと。

今回の実験で用いられる電子書籍は、国会図書館デジタル化資料のアクセス数などの実績と、各資料の特徴とバランスを考慮して選出した8作品に、文化庁で実施する「現代日本文学の翻訳・普及事業」の翻訳対象作品5作品を加えた全13作品。貴重な古典資料の「平治物語〔絵巻〕」を絵巻物の特性を生かしてスクロール型で電子化したり、芥川龍之介「羅生門」初版では新旧の文章を読み比べできるように新字新仮名による「羅生門」を青空文庫から掲載したりするなど、作品ごとにさまざまな工夫がこらされている。また、2012年に5カ月連続で国会図書館デジタル化資料のアクセスランキング1位を記録した戦前の発禁本「エロエロ草紙」や「日本ではじめての天然色写真の絵本」である「トツパンの写真絵本」のひとつ「きしゃでんしゃ」など、発行当時の様子をうかがい知ることのできる資料もラインナップされている。