内閣府は28日、2013年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度について発表した。政府は、同日に開かれた臨時閣議において、2013年度の経済成長率を、物価変動を除いた「実質」で前年度比2.5%増、景気実感に近い「名目」で同2.7%増とする見通しを了解。これにより、デフレ下で名目が実質を下回る「名実逆転」状態が、16年ぶりに解消される見込みだとしている。
政府によると、2013年度は世界経済が緩やかに回復すると見られ、政府が打ち出した緊急経済対策などにより、需要の発現と雇用創出が進み、国内需要主導で経済が回復すると予測。
物価については、2013年度の消費者物価上昇率は前年度比0.5%、総合的な物価動向を示すGDPデフレーターも同0.2%上昇する見込み。また、完全失業率は3.9%と、2012年度の4.2%から改善するとしている。
なお、先行きのリスクとしては、欧州の政府債務問題など海外経済を巡る不確実性、為替市場の動向、電力供給の制約などに留意する必要があるとのこと。
民間最終消費支出は、実質が前年度比1.6%増、名目が同1.7%増と予想。雇用・所得環境の改善などにより緩やかな増加が続くほか、消費税率引上げ前の増加があると見られる。
民間住宅投資は、実質が前年度比6.8%増、名目が同7.5%増と予測。雇用・所得環境の改善に加え、復興への取組などで増加が続くほか、消費税率引き上げ前の増加があると見込んでいる。
民間企業設備投資は、実質が前年度比3.5%増、名目が同3.6%増となる見通し。輸出や生産の増加や企業マインドの好転、緊急経済対策の効果などにより増加するとしている。
実質経済成長率に対する公需の寄与度は、実質で前年度比0.8%増、名目で同0.9%増程度。緊急経済対策の着実な実施や社会保障関係費が増えることで、政府支出は引き続き前年度を上回る見込み。
鉱工業生産指数は、前年度比3.4%増と予測。輸出や国内需要が増え、増加に転じると見込んでいる。
国際収支については、世界経済の回復を背景に、輸出が増加するものの、輸入額が輸出額を上回ることから、貿易収支が6.6兆円程度の赤字となると予想。一方、経常収支黒字は、所得収支黒字の増加により緩やかに増え、経常収支対名目GDP比は1.0%程度となるとしている。