日本中の人に「北海道のカレーといえば?」と問いかけたなら、ほぼ100パーセントに近い確率で「スープカレー!」という返答が即座に返ってくるはず。しかし北海道にはスープカレーの他にも、人気の個性派カレーが数多く存在する。今回はその中から、筆者が食べて感動した3品をご紹介したい。
とろとろ玉子でドライカレーを包むオムライス風
まずは、道東は弟子屈(てしかが)町にあるファームレストラン「カントリーキッチンちゅっぷ」の、その名も「とろりんこカレー」だ。数日間煮込んで作られるカレーは野菜の甘みと程よくスパイシーな風味を楽しめる逸品で、この店の人気メニューになっている。
ドライカレーをファームレストランらしい新鮮なとろとろ卵で包んだこのとろりんこカレーは、一見するとオムライス風。スパイシーなドライカレーが卵の柔らかさにふわりと包まれ、奥深い味わいに仕上がっている。
一緒に供される自家製ピタパンとの相性も抜群。同店の数あるメニューの中でも、リピート率が高い人気の一品だ。
タンチョウをイメージしたグリーンカレー風
次に紹介するのも、同じく道東は鶴居村にあるカフェレストラン「丹頂が見える店 どれみふぁ空」の「タンチョウカレー」。タンチョウの飛来ポイントに店舗があることから、このカレーを発案したとのことだ。
北の大地をさっそうと歩くタンチョウの姿を模した盛り付けで、ルーはホワイト。ユニークな見た目のため、一見するとお子さま向けのメニューかと思うが、味はキッチリとパンチが効いている。ホワイトルーといえども、タイ風グリーンカレーをベースにしたスパイシーな味なので、香ばしい五穀米との相性も抜群だ。
また、自家栽培した野菜を極力使用しており、素材の味も素晴らしい。「何やらユニークなメニュー」と興味本位に注文したお客さんが、食べてみてファンになるというケースも多いという。
スープでもルーでもない不思議なパキスタン風
続いて紹介するのは、札幌の中心部から車で走ることおよそ30分、国道230号線沿いにひっそりとたたずむ「カラバトカリー」の「パキスタンカレー」だ。
ライスの上に乗っているのはルーともスープとも言い難い不思議なもの。チキンレッグを塩、9種類のスパイスなどで長時間煮込んで作るらしいのだが、カレーには見えない。
しかし、口に入れてみると味はまさしくカレー。唯一の具材、ホロホロに崩れたチキンレッグの食感と、複雑にからみあうスパイスの風味で、一度食べたら忘れられない絶妙な味に仕上がっている。
パキスタン人直伝のレシピにしたがって作られているらしいのだが、中東生活が長い筆者の友人は「これぞ本物のパキスタンのカレー」と絶賛している。筆者も含め、多くの常連客に愛されている味だ。こちらの店のフードメニューはこのカレーのみ。好みによって量を選択できる。
●information
カラバトカリー
札幌市南区藤野2条12丁目
何度も北海道に足を運び「スープカレーはそろそろ飽きた……」と思っている人がいたら、ぜひ今回紹介した店に足を運んでいただきたい。