パナソニックは1月9日、RGBオール印刷方式を採用した56型の4K2K(3840×2160:829万画素)の有機ELパネルを開発したことを発表した。

同パネルは、有機EL材料を印刷技術を応用して塗布することでRGB3色すべての発光層(EL層)を形成する「RGBオール印刷方式」を採用。これにより、従来の有機ELパネル製造で必要となっていた真空環境や高温プロセスを不要にでき、生産工程のシンプル化が図れるようになるほか、印刷ヘッドを異なる画面サイズでも共用することができるため、多様な画面サイズへの展開も容易に実現することが可能となっている。

また、RGBの有機EL材料を個別に塗布する「3色塗り分け」と、「カラーフィルタ」の採用により、色純度を高め、優れた色再現性を実現するとともに、多重反射無しに光を通す透明陰極側から、有機ELの発光を取り出す、独自の「透明陰極型トップエミッション構造」の採用により、光取り出し効率を高め、広視野角を実現。これにより、ピーク輝度は500cd/m2、コントラストは3,000,000:1、色域NTSC(u'v')100%を実現したという。

なお、同社はソニーと共同で、印刷方式をベースとした有機ELパネルの量産技術の開発に取り組んでおり、今回の開発品に採用したTFTも共同開発における活動ステップの1つとして、ソニーから協力を得たとしているほか、自社のPDPやLCDなどのFPDで培った、高画質化技術や生産技術のノウハウを活用しながら、多くの可能性を有する有機ELのデバイス特性を最大限に引き出す研究開発を独自で進めていくともコメントしている。

パナソニックが開発した56型RGBオール印刷方式採用4K2K対応有機ELパネル。厚さは最薄部で8.9mmで、重量12.4kg