日本HPは、ストレージ容量単価を追求したストレージサーバの新製品「HP ProLiant SL4500」シリーズを発表し、販売を開始した(3ノードモデルのみ 2013年春発売予定)。

発表したストレージサーバは、1ノードモデル、2ノードモデル、3ノードモデルの3モデル。価格は、1ノードモデルが117万4,950円~、2ノードモデルが 134万5,050円~で、3ノードモデルは未定。

「HP ProLiant SL4540 Gen8」(1ノードモデル)

1ノードモデルは12×5で60台の3.5インチディスクを収容できる。一番左はサーバ

今回のサーバは、ビッグデータ時代に向け、GBあたりのストレージ単価を下げることを目的に開発した製品で、ストレージを大量に搭載できる。アーカイブストレージや大容量NASアプリケーション向けの1ノードモデルでは、60ディスクを搭載可能で最大容量は180TB、メールやNoSQL向けの2ノードモデルでは、ノードあたり25ディスクを搭載可能で、最大容量は75TB、Hadoop、Verticaなどのビッグデータ分析基盤向けの3ノードモデルでは、各ノードに15ディスク搭載可能で、最大容量は45TB。

「HP ProLiant SL4540 Gen8」のラインナップと主な用途

これらのストレージは、ホットスワップに対応し、稼動しながらの追加や交換が可能で、よりスピードを重視するのであれば、SSDも搭載できる。また、今後大容量のストレージが登場すれば、それらに変更することでさらに容量を拡張できる。

サーバは、CPUにIntel Xeon E5-2400シリーズ×2を搭載し、メモリスロットは12×DDR3 DIMM、ネットワークは1Gb Ethernetポート×2で、オプションで10Gb Ethernetポート×2も搭載できる。リモート管理機能はiLO Management Engine(iLO 4)で、アレイコントローラーはHP Dynamic Smartアレイ B120i(サーバ内蔵側)とHP Smartアレイ P420i(ディスクシェルフ側)。

「HP ProLiant SL4540 Gen8」の概観

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 本部長 宮本義敬氏

今回の新製品を開発した背景を、日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 本部長 宮本義敬氏は、「SNSやニュース、ブログのほか、センサーデータといったこれまで企業で見過ごされていたデータなどデータは肥大化しており、IDC Japanの予測によれば、国内の出荷データ容量は、2016年に7,000PB(ペタバイト)に達するといわれている。そして、2010年から2015年にかけて、国内のStorage as a Service市場は63%成長し、1つの大きな市場となる。そのため、こういったサービスを提供するクラウドベンダーからは、大規模拡張性と容量単価の追求が求められるようになっている」と説明した。

HPが考える「大規模拡張性と容量単価の追求」のためのアーキテクチャ

そして、「大規模拡張性と容量単価の追求」を実現するために同社が採用した方法が、ストレージを大量に搭載したサーバを並列にならべ、これらを管理するためにオープンソースのソフトウェアを採用することだという。

オープンソースについては、分散ストレージシステムを実現する各種ソフトウェアベンダーであるSCSK、Cloudera、レッドハットとのアライアンスにより提供される。

SCSKは大容量データの分散処理に最適な無停止でのノード拡張を可能とする、ビッグデータ向けのドキュメント型NoSQLデータベース「Couchbase」を提供。

Clouderaは、企業のHadoop本格利用に向け、管理ツールやサポートサービスをパッケージ化した製品「Cloudera Enterprise」を提供。

レッドハットは、分散型スケールアウトストレージを実現するソフトウェア「Red Hat Storage」を提供する。

オープンソースについてはアライアンスにより提供

そして、日本HPでは、大島本社内にこれらソフトウェアを使った検証に利用できるラボを設置。2013年1月に稼動させる予定だ。

日本HP インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏

日本HP インダストリスタンダードサーバー&ネットワーク製品本部 インダストリスタンダードサーバー製品企画部 部長 中井大士氏は、新製品はコストだけでなく、スペースや電力の肥大化も抑制できるとした。同氏によれば、1GBあたりの容量単価は、従来型NASソリューション(720TB)が217円であるのに対し、新製品(720TB)では、39円と1/6に削減できるという。

ストレージ単価比較

なお、アライアンスは現在3社だが、すでに米HPにおいては、10数社のソフトウェアベンダーよりエンドースメントをもらっており、今後、日本においても参画企業を順次拡大していく予定だという。