NECは12月5日、夜間、悪天候(霧・もや)時、および遠方から撮影した監視映像の視認性を向上し、24時間リアルタイムに広範囲の監視を実現する技術を開発したと発表した。

開発した24時間広域映像監視技術は、視覚特徴分離型デヘイズ(デヘイズ:もやの影響により視認が低下した映像の画質を改善する画像処理)、リアルタイム複数枚超解像技術(複数枚超解像:動画から得られた複数枚の画像を基に解像度を向上する技術)、9月に発表した大規模映像処理技術を組み合わせて実現した。

大規模映像処理技術

視覚特徴分離型デヘイズは、映像の視覚特徴を解析し、物体と背景の境目など色の変化が大きい領域と変化が小さい領域から構成される骨格成分と、細かい模様からなるテクスチャ成分に分離。骨格成分には、映像の明るさと、悪天候の影響を受けて低下したコントラストを改善する処理を実行。またテクスチャ成分には、特に暗所や悪天候時に発生するセンサノイズを抑制する処理を実行。これらにより、従来は夜間や悪天候時に見えにくかった映像の鮮明化を実現する。

リアルタイム複数枚超解像技術では、メニーコアサーバにおいて並列処理を行える高速アルゴリズムを開発することで、映像中の前後数十フレームの低解像画像から高解像画像を復元する複数枚超解像の処理を、従来技術と比較して約85倍高速化。これにより、一般的なカメラと比べて解像度が低い広域監視向け広角カメラでも、撮影したばかりの映像をリアルタイムに高解像度化が可能となった。

開発したこれらの技術と、監視カメラで撮影した映像の内容に応じて、解析処理の実行を制御する技術を組み合わせ、映像中に人が映っていない時の処理を落とす、場所や時間帯によって処理頻度を調整するなどを行うことで、異常検出の精度を維持しながら解析処理量を削減。

これらにより、これまでの映像監視システムでは困難だった暗所や霧・もやなどが発生した状況下でも、より遠方の観察対象をクリアに視認できるようになるとともに、数千地点のカメラを用いた広域な映像監視が可能になるとしている。