筑波大、関節リウマチの発症と治療効果に関わるタンパク質分子を発見

筑波大学は、関節リウマチの発症と治療効果に関わるタンパク質分子「TIARP/TNFAIP9(TIARP)」を同定したと発表した。

同成果は同大医学医療系の松本功 准教授、井上明日香 助手、住田孝之 教授らの研究グループによるもので、詳細は国際的なリウマチ専門誌「Arthritis and Rheumatism」の12月号に掲載されるほか、オンラインでも公開される予定だ。

関節リウマチは発症頻度が高い自己免疫疾患であり、日本でも約70万人の患者がいる。治療については、腫瘍壊死因子(TNFα)やインターロイキン-6(IL-6)などの炎症性カイトサインを制御する生物学的製剤の有効性が実証されたことで、体系が大きく変わつつあるが、効果が見られる患者群がいる一方、無効例も存在しており、病因については未だに不明な点が多いのが現状である。

研究グループではこれまで、ヒトの関節リウマチの病態に近い自然発症関節炎モデルマウス(K/BxN)を用いて、自己抗体の対抗抗原がユビキタスな解糖系酵素Glucose-6-phosphate isomerase(GPI)であることや、同分子が関節軟骨表面に偏在することにより間接局所での免疫複合体活性化が起きることの証明などを行ってきた。また、GPI免疫によって誘発されるもう1つの関節炎モデルを独自に作成し、解析の実施なども行ってきた(GPI誘導関節炎)。

今回の研究では、関節炎モデルマウスを用いて、TNFαが誘導する新規分子としてTIARPを同定。TIARP欠損マウスを用いて、関節炎における病因的意義の解析を進めた結果、同マウスでは1年以内に80%が関節炎を自然発症し、脾臓中のマクロファージの増加および血清中のIL-6の濃度上昇を確認したという。また、TIARP欠損マウスのマクロファージでは、TNFαで刺激するとIL-6産生が増強され、細胞内では転写調節因子NFkBやSTAT3の異常活性化が認められたという。さらに、同マウスにコラーゲン誘導関節炎を誘発したところ、症状の顕著な悪化が認められ、TNFαの産生を抑える拮抗薬の投与では治療効果が認められなかったが、IL-6拮抗薬の投与では関節炎の症状が顕著に軽減することが確認された。

加えて、ヒトのTIARPにあたるSTEAP4を対象に研究を進めた結果、関節リウマチ患者の抹消血および滑膜にもSTEAP4分子の存在が確認されたという。関節リウマチ患者の抹消血では、マクロファージなどの単核球の細胞でもSTEAP4が強く発現しており、TNF阻害剤によって減少しただけでなく、その減少は治療効果の有効性が高い群で顕著であることが確認された。また、STEAP4の発現が特に低い患者群では、TNF拮抗剤に対する抵抗性が認められる傾向も確認された。

これらの結果から研究グループでは、ヒトでもSTEAP4分子が生物学的製剤の治療効果に関与していることが示され、このことからTIARP/STEAP4は炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6の刺激を低減する分子と考えられ、関節リウマチ治療の新規治療ターゲットとなりうると同時に、生物学的製剤治療の有効性を推察する生物指標となりうる可能性があるとコメントしており、今後は症状緩和をもたらしうるTIARP/TNFAIP9を誘導する物質の探索が進むことを期待するとするほか、関節リウマチ患者群における生物学的製剤反応性とSTEAP4分子発現の解析を、マクロファージを中心として進めていく計画としている。

TIARP/STEAP4が、炎症サイトカインであるTNFαやIL-6の下流分子シグナルを制御し、炎症を負に抑える



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