EMCジャパンは、11月15日、同社のフラッシュ製品戦略に関する記者説明会を開催。今後、あらゆる製品にフラッシュ技術を活用する「Flash Everywhere」戦略を発表した。

同社は、10月9日にサーバ向けのフラッシュ・キャッシュ製品「EMC VFChache」の販売を開始したが、今後はデータ保存の基盤となるあらゆる階層において、フラッシュテクノロジーを提供し、ストレージ・レイヤーおよびサーバ・レイヤーにおいて幅広くサポートしていくという。

EMCジャパン マーケティング本部長 上原宏氏

EMCジャパン マーケティング本部長 上原宏氏は、IDCのフラッシュ製品市場の成長予測資料を見せながら、「EMCは業界に先駆けて、2008年からフラッシュ技術を使った製品を提供をしており、お客様のフィードバックを得ている。フラッシュを利用するメリットは自動階層化が行えることだ。今後はあらゆるところでフラッシュが使われ、テクノロジーの核になる。そこで、いろいろなレイヤでフラッシュを活用するという意味を込めて『Flash Everywhere』戦略を決めた」と述べた。

ワールドワイドのストレージにおけるSSD市場規模の推移(出典:IDC)

具体的には、フラッシュ技術の適材適所化を行い、サーバフラッッシュカード(PCIe)はランダムアクセスのリード処理が多い場合に、サーバフラッシュ・アプライアンスは、経済的で、一般的なデータセンターアプリケーション、仮想環境用途になどだ。そして、非常に高速なオールフラッシュ・ストレージアレイ、ハイブリッドアレイ、アレイ内SSD、アレイ内のキャッシュなどとともに、製品を使い分けていく。

「Flash Everywhere」戦略に基づく製品のポートフォリオ

また、同社は上図の製品ポートフォリオおける、サーバフラッシュアプライアンスとオールフラッシュストレージアレイにおいて、新たな製品を投入すべく、「PROJECT THUNDER」と「PROJECT X」(いずれも開発コード)というプロジェクトが現在進行中であることを明らかにした。

「PROJECT THUNDER」

「PROJECT X」

PROJECT THUNDERは、サーバフラッシュのアプライアンスで、サーバのそばに設置するボックス型のキャッシュ。「EMC VFChache」を複数搭載し、異なるベンダーのストレージ間でキャッシュの共有を可能にする。

一方、PROJECT Xで開発するのは、オールフラッシュのストレージアレイで、スケールアウト・アーキテクチャで、重複排除によるパフォーマンスの向上を目指す。

そして、上原氏は今後の戦略として、「エンタープライズ環境における、データマネジメントの飛躍的向上」、「EMC販売パートナーとの協業によりフラッシュ製品の販売加速」、新技術の積極的活用がもたらす、日本のIT産業の活性化」の3つを挙げた。

上原氏が掲げたEMCがとる「情報インフラリーダーシップ戦略」

EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 統括部長 永長純氏

また、EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 統括部長 永長純氏は、「EMC VFChache」の詳細を説明。

「EMC VFCache」は、サーバのPCIスロットにフラッシュ・キャッシュを装填することでレイテンシーを低減、スループットを向上させるサーバ向けのフラッシュ・キャッシュ。同氏は、開発の背景として、「トータルでスピードを速くするためにサーバの中にも侵略していく」と述べた。

「EMC VFChache」

同氏は「EMC VFCache」の特徴として、ランダムでの読み込みが多い処理を高速化すること、通常はミリセカンド単位のレスポンスをマイクロセカンド単位まで向上させ、スループットの向上が図れること、結果として、ストレージを他のI/O処理に割り当てられることを挙げた。

「EMC VFChache」の導入のメリット

また、キャッシュ以外にも領域を分割して、一時DBやOSのスワップ領域としても利用できる点や、ON/OFF可能なキャッシュの重複排除機能があるのも特徴だとした。

キャッシュの重複排除機能。8KBのほか、64KBや128KBのブロックサイズにも対応可能だという

用途としては、ビッグデータには向いておらず、エンタープライズ向けのアプリケーション領域が最適な適用エリアだとした。

「EMC VFChache」の適用領域