中国の特許情報を精度よく日本語に自動翻訳できるソフトを、情報通信研究機構と一般財団法人・日本特許情報機構が開発した。7日から東京・北の丸公園の科学技術館で始まった「特許・情報フェア&コンファレンス」で、デモンストレーションを公開している。

中国の特許申請件数は年々、急激に増え続けている。中国市場に進出する日本企業にとっては、特許侵害訴訟を起こされるなどの紛争を回避するため、中国の特許情報を確実かつ一早く知ることがますます重要になっている。

新しいソフトは、語順の変更に関する知識を自動的に獲得する新しい技術開発などによって、従来技術の3倍以上という翻訳精度を達成した。これまで難しかった「クレーム」(請求した特許の範囲を明記した箇所で、特許出願文書の心臓部といわれる)の自動翻訳もできる。

「企業の知財部や、弁理士の知財調査、さらには特許庁審査官の先行技術調査にも役立つのではないか」と、情報通信研究機構の隅田英一郎・多言語翻訳室長は期待している。日本特許情報機構は、中国の特許情報に日本語訳の「クレーム」を付け加えた特許情報検索サービスを来年春には開始したい、と言っている。

中国政府は、特許申請に助成金を出して奨励するなど、知財重視の政策を強化している。これに伴って外国企業との特許紛争も増えるとみられており、7月には米アップル社のパーソナルアシスタント「Siri」を、上海のIT企業が「音声認識機能の特許を侵害された」として、上海の地方裁判所に提訴するといった事例が報道されている。

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