シスコシステムズは10月23日、都内で同社事業の戦略説明会を開催。未来のインターネットの研究開発などに取り組むインキュベーションラボを11月に開設することなどを発表した。

同社 代表執行役員社長の平井康文氏は、ブロードバンドやモバイルデバイスの普及といった約20年間のインターネットのトピックに触れ、その上で「社会は資源を分け合う分配社会から、知識や情報をシェアする共有社会へと進化してきた」として、「現在は、存在するモノの約1%しかネットに接続されていない。残りの99%をつなげることが大きなオポチュニティ」と語った。

同社では、このようなモノ(機器)やこと(情報)をネットにつねげていくことを"Internet of Things (IoT)"として、「IoT インキュベーションラボ」を開設。企業や学術研究機関などとの連携・コラボレーションを図りながらエコシステムを構築し、IoTに関するテクノロジーリサーチ、先進IoTソリューションの開発・具現化に取り組むとしている。同ラボは当初10人体制でスタートするという。

IoTが実現される社会では、これまでのP2A (People to Application)に加えて、M2M (Machine-to-Machine)やM2H (Machine-to-Human)と融合・連携された"モノやこと"によって価値が創造される新たなステージとなり、環境・医療・教育、交通分野などあらゆる領域においてさまざまなサービスや利便性を向上するアプリケーションやビジネスの創出が期待されるとしている。

同社では、クラウドコンピューティングの集中型インテリジェンスに対して、"フォグコンピューティング"という分散型インテリジェンスの新たなコンセプトにも取り組むとしている。フォグコンピューティングとしてのユースケースとしては、センサーネットワークを活用した地域気象や交通情報の予測システムなどを挙げた。

また2013年度の事業目標としては、顧客・パートナーへの革新的なビジネスバリューの提供(Customer Partnership)、同社の特性を生かした社会貢献(Corporation Citizenship)、写真ライフワークインテグレーションの実現(Cisco Family)の3つの"C"を掲げている。