東洋大学 生命科学部生命科学科の伊藤政博教授を中心とする研究グループは、生体ナノマシンとして注目を集めている細菌運動器官のべん毛モーターでこれまで報告例のない第3のイオンをエネルギーとして利用できるハイブリッド型生物モーターを極限環境微生物の好アルカリ性細菌から発見したと発表した。詳細は9月25日(米国時間)に「PLoS ONE」に掲載された。

べん毛モーターは、これまでH+またはNa+のどちらかを共役イオンとして駆動すると考えられてきた。しかし、今回の研究では、そうした常識を覆し、第3のイオンとしてK+やRb+でも駆動可能なハイブリッド型生物モーターが発見された。また、べん毛モーターのエネルギー変換ユニットに変異を導入してK+では、駆動できなくなったモーターを構築することにも成功したという。

これら成果によるナノマシンの作動原理は、微細加工化された人工ナノマシンの開発に貢献すると研究グループでは説明するほか、多種類のエネルギーが利用可能になることから、今後、医療分野におけるナノモーター研究への波及が期待されるとコメントしている。