NECシステムテクノロジーは、聴覚障がい者向け要約筆記を遠隔地から行える遠隔要約筆記支援技術を開発し、吉備国際大学(岡山県高梁市)および川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)の2校にて、9月末から実証実験を開始すると発表した。期間は2012年9月末~2013年3月末の6カ月間。実証実験では、本技術の有効性と実用性を評価する。  

要約筆記とは、発言者の話を聞き、要約して文字で表し、聴覚障がい者に話の内容を伝える通訳のこと。教育現場では、通常、聴覚障がいを持つ学生の隣席に2人の要約筆記者が座り、ノートやパソコンを用いて講義内容の音声情報を要約して文字情報に置き換えて受講の支援を行うが、要約筆記技術の修得者の数は限られており、特に地方での修得者が不足しているという。

そこで同社は、遠隔地からでも要約筆記に参加できる、要約筆記の初心者でも要約筆記を容易に行える今回の技術を開発した。

具体的には、教室と遠隔地にいる要約筆記者をインターネットで接続し、支援者が教室から配信される先生の音声を聞きながら要約筆記したテキストを教室にいる生徒のパソコンに送信する。

要約筆記作業については、システムが文節や息継ぎを自動認識して発話の切れ目を判断。要約筆記者が、遠隔地の先生の音声を聞き漏らした場合、要約筆記者がシステムに対して、繰り返し再生の指示をすると、1つ手前の発話の切れ目から自動的に発話を再生する。

そのほか、システムでは学校や保護者からの要約筆記支援の依頼と支援者からの要約筆記参加の登録を、要約筆記する授業の内容や支援者のスケジュール、スキル等を勘案して整合させ、依頼授業に対応できる要約筆記者を配置する。

遠隔要約筆記支援技術の概要

さらに、授業の映像・音声・要約筆記内容はライブラリに記録し、授業終了後に要約筆記者もしくは講演者自らが内容の加筆や修正することや、授業時間に要約筆記者を配置できなかった場合、後日でも要約筆記を生成することが可能。