岡山大学は9月20日、水素水の摂取に歯周病を予防する効果があることを動物実験で証明したと発表した。同成果は、同大大学院歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学 教授の研究グループによるもので、欧州の歯周病専門雑誌「Journal of Clinical Periodontology」に掲載された。

水素水は分子状の水素が水に溶けた溶液。分子状水素はこれまでの各所の研究で活性酸素によるダメージを軽減することが報告されており、さまざまな疾患への治療や予防効果が期待されている(活性水素水と呼ばれるものがあるが、これはまったくの別物)。今回の研究はラットを歯周病に惹起させた後に2群に分け、1つ群に蒸留水を、もう1つの群に水素水を摂取させる形で行われた。

結果、蒸留水を与えたラットでは、経自的に血液中の活性酸素の濃度が上昇したものの、水素水を与えたラットでは血液中の活性酸素の増加を抑えることが確認されたという。

また、水素水を与えたラットの歯茎の組織を観察したところ、蒸留水を与えたラットに比べて歯周病の進行が抑制されていることが確認されたという。歯周病は、各種の研究から、その進行に活性酸素が関与していることが知られているが、この働きを抑制した形で、研究グループでは水素水の摂取に伴う活性酸素の減少が、結果として歯周病の進行を予防した可能性を示す結果とコメントしている。

このため、水素水の摂取などによる全身の抗酸化力を高めることが歯周病予防に効果があると示唆される、としており、歯磨きや歯石除去といった口腔内での歯周病予防のほかに、全身への抗酸化療法を歯周病対策に取り入れるための根拠になることが期待されるという。