労働政策研究・研修機構(JILPT)は5日、全国の20床以上の病院に勤務する24歳以上の医師(医院・クリニックの院長は除外)を対象に実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」の結果を発表した。同調査は、2011年12月1日~9日の期間にインターネット上で行われ、3,467名から有効回答を得た。

それによると、職場の医師の不足感について、68.6%が「感じる」(「非常に感じる」27.8%、「まあ感じる」40.8%)と回答。一方、「感じない」(「ほとんど感じない」11.5%、「あまり感じない」2.7%)は14.2%だった。

診療科別に見てみると、「感じる」の割合が最も多かったのは「麻酔科」で81.7%。以下、「救急科」77.8%、「小児科」70.7%、「整形外科」70.6%と続いた。また、過疎地域かどうかの別で見た場合、過疎地域に所在する病院に勤めている医師の方が「感じる」と答えた割合が高く、78.5%を占めた。

主たる勤務先での1週間当たりの実際の労働時間は、平均46.6時間。詳細は、「60時間以上」が27.4%(「60~70時間未満」15.5%、「70~80時間未満」6.6%、「80時間以上」5.3%)、「40~50時間未満」が26.6%、「50~60時間未満」が23.5%、「60~70時間未満」が15.5%となっている。

他の勤務先を含めた1週間当たりの全労働時間の平均は53.2時間で、「60時間以上」の割合は40.0%(「60~70時間未満」20.0%、「70~80時間未満」10.0%、「80時間以上」10.0%)に上った。このほか、「50~60時間未満」が24.4%、「40~50時間未満」が21.8%、「60~70時間未満」が20.0%となった。

主たる勤務先の週当たり労働時間と他の就労先を含めた週当たり全労働時間(出典:労働政策研究・研修機構Webサイト)

昨年1年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数は、「4~6日」が25.8%でトップ。次いで、「1~3日」が24.9%、「0日」が22.3%となり、約半数の47.2%が「3日以下」(「0日」22.3%、「1~3日」24.9%)と回答した。

医師のうち、60.3%が「疲労感」を、45.5%が「睡眠不足感」を、49.2%が「健康不安」を感じていることが判明。さらに、医療事故につながりかねないような「ひやり」あるいは「はっと」した体験「ヒヤリ・ハット体験」があるか尋ねると、68.0%が「ときどきそうである」、8.9%が「ほとんどそうである」と回答し、合わせて76.9%が「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」と答えたことが分かった。睡眠不足感に対する認識別にみても、睡眠不足を感じている医師ほど「ほとんどそうである」の割合が高く、15.2%に上った。

勤務医の勤務環境を改善するための方策について聞いたところ、最多は「医師数の増加(非常勤・研修医を含む)」で55.4%。以下、「当直明けの休み・休憩時間の確保」53.4%、「他職種(看護師、薬剤師等)との役割分担の促進」50.8%、「診療以外の業務の負担軽減」45.9%と続いた。