『ドラクエ』シリーズの生みの親、ゲームデザイナーの堀井雄二氏(左)と『ドラクエX』のプロデューサー齊藤陽介氏

スクウェア・エニックスは25日、ヒルトン東京にて8月2日にWii専用ソフトとして発売される『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』(以下ドラクエX)の完成披露発表会を開催した。

まず最初に登壇した『ドラクエ』シリーズのエグゼクティブ・プロデューサー三宅有氏が「いよいよ8月2日、来週木曜日に発売となります。"今回"は大丈夫そうです」と話して会場の笑いを誘うと、続いてゲームデザイナーの堀井雄二氏と本作のプロデューサー齊藤陽介氏が登場。ここでオープニングムービーが本邦初公開される。"人間"の男性キャラクターが、シリーズを代表するモンスター・ゴーレムに襲われ、そこに颯爽と現れた本作に登場する5種族の一つ"オーガ"。"人間"の男性を救出した"オーガ"はひとりで旅を続けるが、巨大なモンスターを前に大ピンチに。すると以前助けた"人間"の男性とそのパーティーが駆けつけ、ラストに高々と鳴り響くシリーズのメインテーマ――というまさに本作を象徴するプレイヤーとの繋がり、協力、そして変わらぬ『ドラクエ』の世界感が凝縮された素晴らしい仕上がりだった。

上映後に堀井氏は「これまでの『ドラクエ』は友達にどこまでいったとか、こんなことがあったとか話して盛り上がったと思いますが、今度は同じ世界で冒険できる。実際にその辺に歩いている人が他のプレイヤーなんです。すごくワクワクした世界になるはず」とオンラインの魅力を明かし、「オンラインだから(他の人と)パーティーを組まなきゃいけないと思う方もいるでしょうが、それだけではなく、ログアウトしているプレイヤーのキャラクターを借りてパーティーを組んで(サポート仲間)一人でも気兼ねなく冒険できる。自分のキャラを誰かに使ってもらう"うれしさ"もある。僕みたいな人見知りにはうれしいですね」とひとりでも複数でも冒険を楽しめるシステムに好感触の様子。「これまでオンラインは敷居が高いというイメージもあったが、これまでオンラインに触れてこなかった人たちが(本作を)プレイしてくれると思うし、オンラインの世界も変わっていくんじゃないかと」と、自信を覗かせた。


新要素「元気玉」、そしてニンテンドー3DSとの連動へ

そして齊藤氏から明かされた、実際にゲームを中断している時間を有効活用する新システム「元気玉」。「元気玉」は休めば休むほど溜まっていき、次回ゲームを再開時に使用すると、モンスターを倒した時の獲得経験値、獲得ゴールドが倍もらえるというもの。毎日プレイしなければ他のプレイヤーと差がつきやすいというオンラインゲームの常識を逆手に取ったシステムとなっている。齋藤氏はオンラインゲームを継続して遊び続けることの難しさを挙げ「焦って進めればいいというわけではなくて、自分のペースで進められます」とオンラインへの敷居の高さを打破しうる「元気玉」について説明した。

さらに本作と連動させたニンテンドー3DS専用ソフト『ドラゴンクエストX 冒険者のおでかけ便利ツール』も新たに発表されている。こちらはパッケージに封入されているダウンロードコードを使用し、8月22日より無料配信開始。特に『ドラクエIX』にもあった「すれちがい通信機能」はさらにパワーアップしており、ニンテンドー3DSで「すれちがい」、その上でWii『ドラクエX』本編でも「すれちがい」が起こると「ダブルすれちがい」が発生するという。この「ダブルすれちがい」を起こすと素敵な「ごほうび」があり、この詳細については後日明かされる。

そのほか、運営スタッフからの「お知らせ確認機能」、"フレンド登録"したプレイヤーの状態を確認できる「フレンド情報確認機能」、ゲーム内の施設「郵便局」を通じてフレンドと手紙のやりとりが可能な「郵便局機能」、各プレイヤーが出品しているアイテムが閲覧できる(購入は不可)「旅人バザー閲覧機能」、自分のキャラクターがプレイしていない時に「サポート仲間」として雇われている状況を確認する「サポート仲間雇われ情報確認機能」など、本編をプレイしていない時間も有効に使えるツールが満載となっている。

テレビCMはSMAP 「ドラクエXがでるから休むんです」

新情報が続々と明かされる中、続いては7月26日より放送開始となるテレビCMの内容が明らかに。主演は、過去3回連続で『ドラクエ』シリーズ・ナンバリングタイトルのCMに出演してきたSMAP。「新SMAP募集」という報道が日本中を駆けめぐり、SMAPのメンバーが緊急記者会見を開くというこのCMは、「しばらく……普通の男の子に戻ります」と中居正広が、「ドラクエXがでるから休むんです」と木村拓哉が語り、「新SMAP募集」の真相を明かされていく。最後にはメンバー5人揃って『ドラクエX』をプレイする様子も描かれていた。

SMAPが出演する『ドラクエX』のCMカット

ここで本日のゲストとして、SMAPから木村拓哉が登場。一斉にたかれる報道陣のフラッシュと大きな拍手に迎えられて登場した木村は「記者会見のシーンが流れている間、ずーっと画面の左下に"これはCMです"という注意書きがでています。それくらいみなさんにインパクトが与えられるCMになったと思います」と満足気に語り、確かな手ごたえを感じている様子だった。実際の撮影では、大量のエキストラを動員して本日の発表会と同じ規模の記者会見を再現。それぞれ別部屋で『ドラクエX』をプレイする様子は、どこか一室を借りて別撮りしたわけではなく、スタジオ内に複数の部屋をセットで制作するなど、かなり大規模な撮影になったという。「コンピューターでものすごい世界観を作っている『ドラクエX』ですが、僕らは超アナログでした(笑)」と木村がはにかんで語ると、会場は大爆笑。また、本作の魅力については「"ゲームが世の中のニュースになる"、そういうゲームってあんまりないと思うんです。誰もが主役に、誰もが脚本家に、誰もが演出家になれる。それが今回のオンラインという世界感の中でみんなで共有できる。いくつもの魅力がつまっている作品ということが改めて実感できました」と力強く語っていた。

『ドラクエ』がオンラインになっても『ドラクエ』であり続けること

『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』USBメモリー同梱版

発表会のラストには、スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏が登壇。「これまでのドラクエは、クリアしてレベルを上げつくすと、ちょっと寂しいような切ない気持ちになってしまったことがあると思うんです。『ドラクエX』では、ずっと世界に浸ることができ、お客様同士でいろんなドラマが生まれるでしょう。毎日新しい発見があるはずです」とオンラインに挑む『ドラクエ』の魅力を説明し、本作の開発テーマの一つとして「もはや作り手だけではない、皆さんの中にあるそれぞれの『ドラゴンクエスト』をどう育んでいくか」を挙げている。これまで据え置き機から携帯機へのプラットフォームの進化、2Dから3Dへのグラフィックの進化など、その時代時代に合わせた変化と進化を遂げてきた『ドラクエ』シリーズだが、和田氏はこれについて「皆さんの中にあるドラゴンクエストをどう引き継いでいくのか。変わること、変わらないこと。このバランスを大切にしたことで、皆さんに長く遊んでいただけるシリーズになったのだと思います」と話し、『ドラクエ』がオンラインになっても『ドラクエ』であり続けることをアピールした。

そして最後に「本当に皆さま方から評価されるのは、何カ月か、あるいは何十カ月か遊んでいただいて、改めて楽しかったと言われる時でしょう。どうか来週はちょっとお勉強やお仕事の手を休めてドラゴンクエストの世界に入っていただきたいと思います。休むと"元気玉"がたまります」と締めくくり、発表会は幕となった。

8月2日(木)にいよいよ発売される『ドラクエX』。当日には朝7:00より東京・渋谷TSUTAYAでカウントダウンイベントが行われ、齋藤氏と堀井氏も登場。そして、ゲームのオンラインのサーバーも同時刻に開放される。

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