日立製作所は7月24日、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所が国際DNAデータベース構築事業を行うためのスーパーコンピュータシステムを構築し、本格稼働を開始したと発表した。
同研究所は、同システムを活用して、米国・欧州の研究機関などと連携した国際塩基配列データベースの構築と、世界中の研究者に対する公開、研究者が新型DNAシーケンサーの出力情報などのビッグデータ解析を加速するためのITリソースを提供する。
今回導入されたシステムでは、新型DNAシーケンサーの登場により発生するビッグデータを高速処理するために必要なとされる超高速アクセスが可能なファイルシステムを実装している。ファイルシステムと解析サーバとを接続するネットワーク装置の理論転送帯域は合計で960Gbpsを確保しており、計算処理を行ううえで機器間のデータ転送によるボトルネックを回避している。
また、省エネルギー性能にすぐれたラック型空調機が採用されているのも同システムの特徴。ァンによりITラック背面に排出される、サーバから発生した熱は、隣に置かれたラック型空調機により吸気され、前面へ冷気として排出される。日立が独自開発した3次元熱流体シミュレータを活用し、サーバ室内の空調環境についてコンサルティングを行う「AirAssist」サービスの活用により、計算機と空調機器の最適なレイアウト設計がされているほか、データセンターやサーバ室のエネルギー効率を示すPUEは従来1.9だったところ、新システムでは1.2前後となっている。
ラック型空調機のモデル図 |
同研究所は2014年には、今回導入したシステムと同等規模以上のシステム増強を予定している。