サムスン電子ジャパンは7月9日、マルチ大画面ソリューション向け新製品である、業界初の「タイル型」液晶ディスプレイ「UD22B」、ならびに専用ソフトウェア「MagicInfo VideoWall 2」を発表した。どちらも価格はオープン。
同社のSet事業Team ディスプレイ営業グループ 部長 宮田隆氏よれば、マルチ大画面の電子看板(デジタルサイネージ)の需要が拡大しており、顧客ニーズが多様化してきたため、それに応えるために投入した新製品が先述の新型液晶「UD22B」、ならびにデジタルサイネージ用の新ソフトウェア「MagicInfo VideoWall 2」だという。
業界初の"タイル型"液晶
同社は2008年から大画面ソリューション向けの額縁が薄い液晶を発売してきたが、今回の新商品は従来の液晶の画面比である4:3や16:9とは大きく印象の異なる、画面比1:1の「UD22B」。960ドット×960ドット(38.7cm×38.7cm)で22型の正方形の液晶を組み合わせることで、これまで以上に多様な表現を可能にするという。
この新製品は、サムスン電子独自開発のS-PVA業務用液晶パネルを搭載したもの。マルチ画面を作成するために2つの液晶を隣り合わせた際のディスプレイ額縁の幅がわずか5.5mmなので、画面のつなぎ目が目立たない仕様となっている。また、高視野角(上下・左右178度)、と高コントラスト(4000:1)で高い視認性を提供する。
また、1年間の連続運用にも耐えうる高い信頼性を確保し、焼き付き防止機能をオンスクリーンディスプレイメニューに標準搭載。内部温度センサー、バックライトエラー検知機能も備えており、設置中の誤作動やいたずらを防ぐ本体操作ロック機能、リモコン操作ロック機能も搭載している。LANまたはRS232C系由での遠隔運用・管理機能は、後述する標準添付ソフトウェアによって行う。
そのほか、保守が容易になるよう本体背面部、壁掛け金具の中にサムスン製電子看板専用Windowsコントローラ(SBB)が収納可能であるなど、設置のための工夫が盛り込まれている。タイルのように設置して大型画面を形成する以外にも、小型であることを活かしてショーケース内へはめ込みによる演出を行うなど、さまざまな利用方法があることも示された。
デジタルサイネージ制御ソフトにさらなる進化
続けて、デジタルサイネージの制御やレイアウトデザインなどを行うためのソフト「MagicInfo VideoWall 2」についても同時に発表された。このソフトは2010年から、同社の販売パートナーであるエヌジーシーから販売しているものだ。このたびの発表では、バージョンアップによる機能向上の部分について説明が行われた。
同ソフトによってデジタルサイネージを運用すると、ネットワークでコンテンツを配信し、複数台のディスプレイ表示の同期を自動で行うため、システム構成、接続が単純化され、初期費用削減や省スペースを実現できるという。また、最大250台までのマルチ大画面接続に対応しているため大画面の形成も可能で、動画のスケジューリング再生、予約配信にも対応している。また、1台の解像度×台数分の超高解像度の画像、動画の表示・再生も可能となっている。サムスンの電子看板ソフトウェア「MagicInfo-i Premium」と組み合わせて使用することで、WEBサーバによる外部からの遠隔運用・監視にも対応する。
また、レイアウト構成もソフト上でのドラッグアンドドロップ操作で行うことができ、液晶ディスプレイは縦横設置の混在、サイズの異なる機種を混在させて置くことも可能。業務用液晶のほか、同社の一般向けPCディスプレイも大画面構成に利用することができるようになった。
大画面を形成する際、このソフトを使うことで1ディスプレイに複数のコンテンツを配置したり、複数のディスプレイに1コンテンツを横断配置したりすることもできる。また、シーンエディット機能により、運用のその場で即座にコンテンツやファイル、レイアウトの変更も可能となった。エヌジーシー ビジュアルソリューション事業部 ビジュアルソリューション技術課 小澤謙二郎氏によれば、これまでは液晶の設置状況に合わせて映像の操作が必要であったものが、これによってすべてソフト上で完結するということだ。
同ソフトはサムスン製の液晶での動作が念頭に置かれているが、顧客からの需要に応え、他社の液晶やプロジェクターなどの他機器とも特定の条件下で連携するようになっている。
新商品の販売目標台数
このたび同時に発表された2商品だが、「MagicInfo VideoWall 2」は発表当日の7月9日より出荷となった一方、新型液晶の「UD22B」は9月末の発売となるという。
最後に、「UD22B」の年間販売目標として、宮田氏は500台という数字を掲げた。