東京電力福島第一原子力発電所の事故を検証する国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出した。その中で今回の事故は「自然災害」ではなく、規制当局や東電の安全対策の「意図的な先送り」が招いた「人災である」と断定した。
報告書では、福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない脆弱な状態だった。事業者が規制当局を骨抜きにすることに成功する中で、「原発は安全が確保されている」という大前提が共有された。歴代の規制当局は電力業者の「虜(とりこ)」なった。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊したと指摘した。
事故の直接的な原因として、東電などが津波を主因としているのに対し、報告者では、津波の到達時刻、複数の運転員からの説明などから、1号機の地震による小規模な冷却材漏れ事故や非常用交流電源喪失などの可能性を述べた。
さらに政府や官邸の事故対応の問題も指摘した。ベントや海水注入について、東電はじめ関係者が実施を合意し対応しているにも関わらず、官邸はその情報を把握しないまま介入し、混乱を引き起こした。官邸が出した避難指示についても、避難区域の決定の根拠は乏しく、政府内各機関との連携不足もあって、現場に混乱を生じさせた。官邸政治家は、真の危機管理意識が不足し、果たすべき役割についての認識も誤っていたと言い切った。
このほか報告書では、国会に原子力問題の常設委員会を設置し、今後の事故対応状況などを監視すること。さらに政府の指揮命令系の一本化や、被災住民に対して国の負担で行う外部・内部被ばく検査や健康診断制度の創設など、7項目の提言をまとめている。
報告書は641ページ。延べ1,167人から900時間以上にわたり聴取し、約2,000件の資料の提出を受けた。参考資料として住民アンケートや従業員アンケートの結果を添付し、英語版も作成した。これらは国会事故調のホームページで閲覧できる。
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