住友電気工業(住友電工)とソニーは、発振波長が530ナノメートル帯(1ナノは10億分の1)、光出力100ミリワット以上という純粋な緑色の光を高出力で発する半導体レーザーを、世界で初めて開発した。光の3原色(赤・青・緑)のレーザー光源がそろうことになり、スマートフォンにも内蔵できる超小型レーザープロジェクターなどへの実用化が見込まれるという。

両社の発表によると、これまで赤色と青色の半導体レーザーは量産化されているが、純粋な緑色の半導体レーザーはなかった。緑色については、赤外光を光学素子で波長変換させたレーザーを主に利用していたが、光源が大型で高価なことのほか、従来の窒化ガリウム系材料を用いた緑色半導体レーザーは発振波長が520ナノメートル以下で、光出力も数十ミリワット以下に限定されるため、十分な輝度が確保できなかった。

住友電工は、従来の窒化ガリウム結晶を75度の傾きで切ることで、高品質の緑色の光が得られる結晶(半極性窒化ガリウム基板)の製造・加工技術を先に開発しており、これにソニーがブルーレイ・ディスクの開発などで培ったレーザー技術を生かして、今回の純粋な緑色半導体レーザーを共同開発した。その結果、レーザー構造の最適化や駆動電流、電圧の低減化などにより、光電変換効率8%以上を実現した。従来の窒化ガリウム系緑色レーザーに比べて、約2倍の高輝度を得られたという。

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